オヤジ達の白球 56話~60話
「おっ・・・先輩から続報が来たぞ。
なになに、国道に止まったままはやくも3時間。車はまったく動かねぇだと。
愛人はやたら不機嫌になってくるし、このままだと俺もカミさんに
浮気がばれる恐れがある。
はやくなんとかしたいが、まったく打つ手が見つからねぇ。
八方ふさがりとはこのことだ・・・か。
やれやれ。ご愁傷さまなことだぜ。まったく」
(天罰だ)とぺろりと舌を出し、北海の熊が携帯をポケットへしまう。
「おい。
おれたちもいつまでも呑んでいないで、いいかげんで帰った方がいい。
南岸低気圧がますます発達して、今晩当たり、最大限の勢力に達するそうだ」
「南岸低気圧が最大限に発達すると、いったいどうなるんだ?」
「南岸低気圧が北からの寒気を呼び込んで、関東に大量の雪を降らせる。
いまの降りかたは、まだまだ序の口らしい」
「ホントか!」
「これまで経験したことのない歴史的な大雪になる、という警報が出た。
予測で、前橋で60㌢をこえるそうだ」
「前橋で60㌢・・・ということは、このあたりではどのくらい積もるんだ?」
「おなじくらい積もるか、もうすこし積もるだろう。
いずれにしても長居は無用だ。
今日はこれくらいにして、みんな、さっさと家へ帰ろうぜ」
北海の熊が先頭きって立ち上がる。
「そうだな。雪見酒などと洒落こんでいる場合じゃねぇ。
熊のいう通りだ。
おい、帰ろうぜ、みんな。
大将も早く帰って、大雪の対策をした方がいいぞ」
(61)へつづく
作品名:オヤジ達の白球 56話~60話 作家名:落合順平