ひろしの詩
日の丸弁当
忘れかけていた記憶が「梅」の文字から
はっきりと思い出される
四角なアルマイトの弁当箱
飯の詰まった真ん中に
赤い大きな梅干しが殿様みたいに座っていた
父の弁当にはいつもその殿様が座り込んでいた
僕が小学1年生になった頃
弁当箱の蓋に小さな穴が開いていた
僕にはなぜ穴が出来たのか分からない
ふと父を思い出し
コンビニで梅入りの握り飯を買いたくなった
手に握っただけで
口の奥が痛くなるようだ
唾液が出てくる
学校の屋上に日の丸が揚がっている
「日の丸弁当」父が言っていた
そんな弁当で満足し
僕を育ててくれた
「父ちゃんありがとう」