夢幻圓喬三七日
参考文献・あとがき、そして完結へ
≪参考文献≫
この小説にあたり以下を参考にさせていただきました
『落語のはじめ』 生扉部絽倶書店
『落語の里菖蒲園』 屋風パブリッシャー
『三遊亭圓朝、その無舌の呼吸法』 山岡 鍠舟 医鐘観出版
『地獄に行く前に知っておきたい21のことがら』 丹波 敏郎 冥遊社
『橘家圓喬と陽明学』 林田 荒残 青欄図書
『明治百年で物価はこう変わった!』 政府管掌物価研究会刊
『音声映像事始 -圓朝は蓄音機に間に合っていた!-』 音響映像文化会 小論備唖出版
『緑で進めは日本だけ』 世界信号統一協会刊
『東西を駆け抜けた噺家たち』 安藤 夏夫 東京圖書院
『上方落語を盗んだ三人の男』 遠藤 豆子 京坂演芸社
『江戸前鰻はこの男から始まった』 神田川 金次? 隅田川鰻保存会
『東京の下層飯を喰らふ』 土下 強 貧民出版
『江戸名物を探して』 ボビー・ウェイツキン 極東チェス協会会報 2008年1月17日号
『海苔はどこへ行った?』 ピート・ヒッカーソン 浅草紙漉連合会素見誌 1975年4月30日号
『コンビニ店オーナーの逆襲』 小西 昇 逸品堂書店
『落語を生かした小説の書き方』 ご隠居 横町出版
『自慢じゃないが、俺は気に入った客にしか売らないよ』 墨芯堂店主 色紙出版
『まんが人類の歴史 -災害と戦争が羽織を着て座っていた-』 立山 昆虫 春田書店
『落語家襲名秘話 -最近は地下室がないと大名跡は継げないらしい-』 匿名会計士 暗闇出版
『”一年生になったら”では遅い日本の文化と食育』 桑の木幼稚園 贖罪図書
『明治5年 吉原が死んだ年』 喜瀬川・高尾共著 ペルー図書
『レッドデータブック 汽水・淡水魚類』 環境省(自然環境局野生生物課)
『レッドデータブック 植物I(維管束植物)』 環境省(自然環境局野生生物課)
『レッドデータブック 古典落語・噺家』 文化庁文化財保護委員会
『隅田川にイルカが来た日』 竹取翁 神部児童図書
『こういう仕草は通人に見られる 食事編』 半ちく出版
『地獄に落としたいこの噺家のこの演目』 斑目 金太郎 越智出版
『宗家の在り方 -北斗宗家と三遊宗家にみる対極の精神-』 拳四郎 世紀末出版
『プロジェクトZ 絶滅危惧種を救え』 夕太郎 花盗人書房
この場を借りてお礼申し上げます。
□□□ あとがき □□□
多くの人から名人と謳われた四代目橘家圓喬は、またその人格を批判された噺家でもありました。嘗て、六代三遊亭圓生が述べた『そんな人格の人間に、あんな良い芸が出来るわけがない』という芸論を展開するつもりは私にはありませんでした。史実や伝聞を調べ、なぜこの様な、一見矛盾するともいえる圓喬像が出来てしまったのか、を自分なりに推理しようという、好奇心から始めたことです。
調べが進むにつれて、どうしても整合性がつかない事柄が散見するようになりました。この資料を信じるとこちらの資料が嘘になる。こちらの伝聞を信じるとこちらが……、とどうにも行き詰まってしまいました。そこで、思い当たったのが落語の『弥次郎』です。資料や伝聞のどれかが嘘ではないか? 勘違いではないのか? そう思い立って、論理パズルではありませんが、資料や伝聞の一つ一つを検証することにいたしました。
苦労した甲斐があって、一部の資料や伝聞が、この世に存在しなければ、圓喬を取巻く全ての事柄に整合性がとれるところまで絞り込めました。
その『この世に存在してはいけない資料や伝聞』すべてに関わっている人物がおりました。三遊宗家です。三遊宗家の伝聞や文章が矛盾の根源だったのです。それらを取り除くと、あら不思議! 見事に整合性がとれるではありませんか。なんのために宗家が、そのような嘘や勘違いを残したのかは、ここでは論じませんが、そのような扱いを受けたにもかかわらず、一切の反論をしなかった圓喬にその矜恃をみました。まさしく、噺をする事以外に興味がなかった人生だったのでしょう。
その圓喬の代弁をするという名分も、この小説を書き進める上での推進力になりました。
彼岸で圓喬に会えるのか、どうかは分かりませんが、その人生に触れることが出来たことは、生涯の幸せです。