堕落ですね
「そ、そんな事は してませんから!」
鼻先に指を突き付けられ、僕は慌てる。
「ただ…<天上界>に 行きたくないだけです。」
「─ 何故ですか?」
「ほら、<中間界>で 、特に困らず 生活出来てますし…」」
「看過出来ない、堕落ですねぇ」
突然 僕の左腕は、背後にねじ上げられた。
「い、痛い!」
「不本意ながら…強制救済させて頂きます。」
「て、天界の住人が、こんな事しても 良いんですか」
「ノルマ達成のためです。仕方ありません」
<天上使>は僕の両腕を、背中で素早く拘束する 。
「これは<至高の存在>のご意思に基づく 正しき行いです」
「横暴だ! 権力の乱用だ!!」
「暴言や抵抗で悪行を増やすと、積まないといけない善行の量が増えますよ?」
「だ、誰かー 助けてーー」
「この世に、<天上界>に導かれる以上の救いなど ありません♡」