L K 3 「フェニックス」
「皆の努力が実を結んだのね」
「それはこれからも変わらない。アップルでは、地球の役に立つ研究が、実際に進んでいたし、その成果を現実の世界に持ち出すことも出来るって分かったから。もし、現実世界でSS3000シリーズを開発すれば、私自身もその世界に出ることが出来そうじゃない。こんな素晴らしい夢はないわ」
「そうね。今の地球の技術じゃ、こんなに遠くの惑星に移住するなんて無理だけど、現実の地球再建には、あなた達の技術も役に立ちそうだわね」
「そうよ。私達と付き合っていくことなんか、宇宙人と付き合うことなんかより、よっぽど簡単なはずよ」
エルは、ずっと気になってた胸騒ぎさえ、今は消えたって話してくれた。
私のホロシミュレーションプログラムは、軍によって厳重に管理されることになった。でも私は、その管理者としてのTrustedinstaller(トラステッドインストーラー)の権限は、絶対に譲らなかった。
こうして、惑星アップルのプログラムは、永久に保存されることとなる。
今では、全世界のウイルス“マザー・スー”は、ワクチン“マダム・スー”によって完全に駆除された。大きなダメージを追った地球は、新たなアップル・テクノロジーを駆使して、再建への道を歩み始めるんだろうな。
「あ、そうだ、コンピューター。このホロチャンバーから、現実の世界に電話できる?」
『はい。可能です』
・・・・・・・・・・・・・・。
[(PPPPP・・・カチャ)・・・もしもし? リズなのかい?]
「あ・・・べスおばあちゃん!? ・・・無事だったのね・・・・・・」
完
作品名:L K 3 「フェニックス」 作家名:亨利(ヘンリー)