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ザ・定年

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序章


 夫の定年――いつかは来るもの。ただそれは、まだまだ先の話――そう思っていた。それがいつのまにか来年に迫ってきていた。
 今年は改元の年。そして、来年は東京オリンピック。そんな立て続けの大イベントにすっかり気を取られているうちに、わが家にとっての重要な夫の定年というものが、ひっそりと、しかし確実に近づいていたのだった。
 
 世間では熟年離婚が増え、そのきっかけが定年となるケースがあるらしい。また、ぬれ落ち葉なる言葉も登場し、時間を持て余した夫が妻の外出についてまわるという。またあるいは、一日中夫が家に居ることで妻が体調を崩すことがあるとも聞く。
 
 いろいろな情報をインプットされた私は、来るその日に備えるべく、今までの生活を見直そうと考えた。
 お互い気持ちよく過ごすためには、努力が必要に違いない。それにはまず、互いの不満を少なくすることだろう。
 夫の私への不満として心当たりは、私の小言の多さだろうか。言いたいことの10を1にしよう。
 そして私の不満といえば――数え上げたらきりがない。新婚の頃から積み上げられてきた不満は、山のように高く高く積み上がっている。それらはもう見ないことにしよう。見なければないのと同じだ。
 まあ、そんな簡単なわけにはいかないだろうが、心掛けるだけでも多少は違うだろう。
 
 
 そんな時、息子のママ友だった千鶴、職場で同僚だった美里、そして幼なじみの孝代と、それぞれのおしゃべりの機会がやってきた。
 千鶴の夫は、すでに早期退職制度を使って三年前に定年を迎えていた。
 逆に美里の夫は、定年を五年間延長し、あと二年を残していた。
 そして、孝代のところは夫婦で食堂を営んでいる。なので自営業である孝代の夫に定年はない。

作品名:ザ・定年 作家名:鏡湖