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百代目閻魔は女装する美少女?【第一章】

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 由梨は『ユーホーキャッチャー』をつけたままである。どこから見ても奇妙である。クラスメイトの視線はそこに集中している。休憩時間にはさぞ質問責めに遭うことだろう。
 しかし、オレはもうひとつ別のところにスポットを当てた。
「ミス田井中の席はミス日乃本のライトサイドだね。ビコーズ、そこしかエンプティシートはナッシングだからさ。」
 わかりにくい言葉を受けて、由梨はオレの隣に腰かけた。即座に質問をしたオレ。周囲に聞えないように小声。
「おい、どうして学校に来たんだ?」
「別にあんたに答える義務はないわ。話しかけないでよ。目障りだわ。このヘンタイ。」
「どうしてヘンタイだとわかる?」
「そんなの答えるにも値しないわ。」
「まさか、今朝、水着姿を見られたのが恥ずかしいとか。」
「べ、別にそんなことは大したことじゃないけど。あんたに見せるには早すぎると思っただけよ。ギャラを払いなさいよ。」
 明後日の方向を見る由梨。いや見ていない。目は閉じられている。顔が赤いのはなぜか。窓際で日光が当たっているからか。
 オレが質問をしたかったのはこんなことじゃない。
「おい、頭の上にある白い輪はいったい何だ。」
「これ?死んだことを証明するものよ。よくアニメとかで見るでしょう。」
「あれのこと?でも、そんなのをつけたままじゃ、回りに不審がられるだろう。ていうか、死人であることを標榜しているようなものじゃないか。てか、美少女カウンター、いやユーホーキャッチャーだったか、の方が存在感は大きいがな。」
「大丈夫。輪の方はフツーの人間には見えないわ。」
「なんと。じゃあ、オレが特別だということ。」
「そう。だからヘンタイ。」
「そういうことっすか。」
 十分に納得したオレ。そんなわけない!女装から本物の女の子になったのだから、生物学的には『変態』したことは事実。だからオレは『変態』なのであって、決して『ヘンタイ』なのではない。
 そもそもオレが女装している理由。シュミと言ってしまえばそれまでだが、それだけでもない。オレの家では女がもてるのだ。父親はオレより、母親つまり、妻を愛する日々が続いた。妹が生まれてからもそれは変わらず。また、両親は妹を愛して、都は男子なので放置され、そのことがオレの女装への興味を駆りたてることになった。オレは両親に気に入られるべく、女装をするようになり、その方がかわいいわよと母親から言われることが嬉しかった。そのまま高校生までなってしまったということ。ちゃんちゃん。本当はもっと奥深く長い話なのだが、今はここまでにしておこう。
「姿が他の生徒や先生には見えるのはどういうわけだ?」
「『8時ルール』というのがあるの。朝8時から夜の8時までは一定の場所で姿を具現化することが可能なの。それ以後は単なる霊体になるってわけ。これは閻魔女王のチカラによるものね。だからそれ以外の時間は普通の人間には姿は見えないわ。」
 さっぱり理解できない。そのうち慣れてくるのだろうか。