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悠久たる時を往く 〜終焉の時、来たりて〜

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「“虚”の世界に赴くというのも一興……」と、ザビュールはほくそ笑む。イリーカとレオズスは言葉を失う。それに感づいて、ザビュールは答えた。
「だが私は望まぬ。アリュゼルの皆がおる、ミルド・ルアンへ還ろう。今度は“魔界《サビュラヘム》”など創らぬよ。過ちを繰り返す愚は犯したくないものだ……」
 ザビュールの気配はそこで消えた。

◆◆◆◆

 漠然とした空間に残されたのはイリーカとレオズスの二者となった。
「……彼は行ったね」
 感慨深げにレオズスは言う。畏れられた冥王も、最期には憎しみの衣を剥ぎ取り、アリュゼル神族のザビュールに戻ったのだ。
「私たちも行きましょうか。最後に、また貴方に会えるとは思ってもみなかったわ。剣ではなく、意識を持った貴方に」
 イリーカは微笑んだ。


 かくして、第二紀アリューザ・ガルドの物語は全て幕を閉じる。



     『悠久たる時を往く』終焉の時、来たりて 〈完〉