赤のミスティンキル その後の物語
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意識のみの存在であるミスティンキルとウィムリーフ。物質界に顕現している時間が限界を迎えようとしていた。
「……君の身体を殺めてしまった」
レオズスが詫びる。
【デュレクウォーラに身体を持っていかれてからは、執着はしていません】
ミスティンキルが応えた。
【おれは彼女に敗れたけれど、最後にウィムが勝利した】
「そう捉えてくれるんであれば、僕の罪の意識も少なくて済む」
と、レオズス。
「しかし、これからどうする?」
「わたしは“月の界”へ戻ります。フィエルの意識も、あそこならば穏やかに過ごせるから」
フィエルのことを理解したウィムリーフがレオズスに言う。
【……ならばおれも。共に月へ行こう】
ミスティンキルとウィムリーフは視線を交わした。
【エリスメアのことを見守って下さい】
「……父親として、承知した」
ティアー・ハーンは笑った。
「大丈夫。あの子の人生も、魔法のこれからも、ね」
【では、これでさらば、だな】
アザスタンが言った。
【さて、どうかな】
と、ミスティンキル。
【我ら龍は、“炎の界《デ・イグ》”で繋がっているゆえに】
そしてミスティンキルはウィムリーフを乗せると、天高く駆け上がっていった。
作品名:赤のミスティンキル その後の物語 作家名:大気杜弥