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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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グレイ家の兄弟 Epilogue

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 ― イギリス・ソルシティの一角で ―

 ライカンスロープとのラストバトルから3日後、G4がいつものように朝から自宅でうだうだしていると、長男フレディのスマホにドクター・フリックから連絡が入った。用件は、エレメンタルウエーブを解除する装置が完成したということだった。G4はドクター・フリックの研究所へ向かった。


 ― ドクター・フリックの研究所にて ―

 G4は、ドクター・フリックと対面していた。
「ドクター・フリック、エレメンタルウエーブを解除する装置ができたんだって?」
 ブライアンが尋ねると、ドクター・フリックは得意げに話した。
「ほえほえ〜、そうなんだす」
「どんなの?僕も見たいなぁ」
 ジョンが興味深そうに言った。
「じゃあ、全員わしとアメリに付いてくるだす」
 G4は、ドクター・フリックとアメリに付いていった。

 とある一室に入ると、人間一人が入れる縦型のカプセルがちょうど四つ置かれていた。
「ほえほえ〜、これが『エレメンタルウエーブ解除カプセル』だす。このカプセルに入って解除エネルギーを浴びれば、普通の体に戻るのだす」
 「普通の体に戻る」という言葉を聞き、G4の表情がわずかに曇った。
「ガルーの脅威が消えた今、チミたちにもはやエレメンタルウエーブは必要ないだす」
「もう、能力ともお別れか…」
 自分の両手から少しだけ炎を出すと、フレディが名残惜しそうに言った。
「俺たちに『日常』が戻るんだな」
 ブライアンはさらりと言ったが、その目はどこか寂しそうだった。
「この数カ月間、いろんなことがあったよな」
 ロジャーが柄にもなく静かに話した。
「普通じゃできない体験をたくさんしたよね」
 ジョンも付け足すように言った。
「あの戦いの日々はずっと忘れられない」
 フレディが言うと、弟たちも大きくうなずいた。

 すると、ドクター・フリックが兄弟たちの会話に入ってきた。
「G4のおかげで、ここソルシティに自由と平和が戻っただす。G4、本当にありがとうだす」
 ドクター・フリックが感謝の言葉を述べると、助手のアメリとともにニート四兄弟に拍手を送った。彼女は
「G4、ありがとうでス!」
 と言うと、大きめの花束を見せた。G4全員が、驚きのあまり息をのんだ。兄弟を代表して長男のフレディが花束を受け取った。4人はうれしさが込み上げて、涙をこぼした。

 ドクター・フリックは優しい目でしばらく彼らを見ると、一人一人カプセルに入るように促した。花束をいったん置いて、フレディ、ブライアン、ロジャー、ジョンはカプセルに入った。ドクター・フリックはレバーを下ろしてカプセルを作動させた。
 数十秒にわたってエレメンタルウエーブ解除エネルギーを浴びたのち、G4はカプセルから出てきた。
「ふう、これで本当に『普通のニート』に戻っちまったな」
 そう言うと、フレディは苦笑いした。すると、ブライアンが意外なことを言った。
「いや、俺はもうニートを卒業するつもりだ」
「実は俺も、ニート生活におさらばしようと思ってる」
「僕もそうさ」
 ロジャーとジョンも、気持ちは兄と同じだった。弟たちの言葉を聞いたフレディは、フッと笑った。
「おまえらがそう言うなら、俺もニートはやめたぁ!」
 今までのG4ではあり得なかった発言の数々を聞き、ドクター・フリックとアメリは顔を見合わせてほほ笑んだ。