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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 2 「希望と絶望の使者」

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 ブルーノは無言でラボを出た。手にはスキャナーの入ったケースをぶら下げている。もちろんそれは、マダム・スーが一人で行動しているのだ。
ブルーノは周囲の緑を見渡した後、空を見上げ、真上に昇るややオレンジがかった太陽を見て、
「地球の環境にかなり近付けましたわね。人間の植民地に十分なり得ますわ」
視線を下ろし、50mほど離れたところに設置された建物に目をやった。
「そのためには、セカンドロイドは邪魔でございます」
 ブルーノはその建物に向かって歩き出した。その途中、牛を追い立てているジェイが、ブルーノを見付けると、
「イエロービーのスキャニング作業はどんな調子だ?」
牧場の柵の向こうから声をかけた。
「イエロービーは、まだスキャン中です。その後、試験農場のホロシミュレーションを手伝わせたいのですが、よろしかったでしょうか」
「そうだな、インフィニチウム採掘をさせたかったんだが、ケイはエルのために忙しいだろうから、今日のところは仕方ないぜ」
「ありがとうございます。それとピンキーとグリンを見ませんでしたか?」
「やつらなら居住棟だ。2体とも子守で忙しいからな」
「キュウ様は子供ではありませんが」
「そんなこと解ってるさ。ジョークだよ」
「ジェイ様も冗談を楽しむことが出来るのですか?」
ブルーノはジェイを直視した。
「楽しんじゃいないさ。感情のあるアンドロイドとうまく付き合っていくコツだ。お前にも教えてやろうか?」
「はい、そのうちに」
ブルーノ(マダム・スー)は無表情でジェイをやり過ごし、目指していた建物(居住棟)に向かった。