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ブルーノはスキャナーのスイッチに指をかけ、
「それではお二人さん、ごきげんよう」
スイッチを押した。

　＊★バン！　☆＊＊＊

　その瞬間、ルージュとイエロービーの頭部から火花が散って、２体は床に転がった。
「ほほほ、おバカさんたち、私が乗り移ってるとも知らないで。次はセカンドロイドを始末いたしましょう」
ブルーノには、あまり表情を変える機能はないが、この時は不気味に微笑んだように見えた。そして、それはまさしく、マダム･スーの話しぶりだった。今朝、ＤＮＡナノロボットをラボから持ち出す際に、マダム･スーはすでに、ホロチャンバーでブルーノに乗り移っていたのだ。

「私をホログラムチャンバーに閉じ込めておこうなんて、考えが稚拙でしたわ。私はすべてのプログラムの一部になり得ますのよ。ホログラムから抜け出すことなんて簡単でしたわ」
ブルーノの体を借りたマダム･スーは、ルージュとイエロービーのボディをホログラムチャンバー内に引きずり込んだ。そして、
「コンピューター。ルージュとイエロービーのＢＵＨ（バックアップホログラム)を初期化して起動」
そこに、ルージュとイエロービーの姿が並んで投影された。
「バックアップはうまく取れたようね。あなたたち、自分達のボディを片付けてちょうだい」
「そうね。私達の体、二つも要らないわね」
ルージュのＢＵＨがそう言うと、
「コンピューター。試験農場を再現」
またブルーノがコマンドすると、ホロチャンバーの中に、外の農場と同じ空間が広がった。
「じゃ、土に埋めてしまえば、いいんだな」
そう言って、イエロービーのＢＵＨがライトローダー（外骨格式人型重機）に乗り込んだ。
「そうそう。お利口さん。感情がないっていいわね」