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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 2 「希望と絶望の使者」

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ルージュは少し考えるように宙を見上げて、
「はい、エル様には感情があって、ケイ様のことを考えておられる時、まるで人間のように行動されます。私はエル様はアンドロイドだって解っているのですが、人間に対してのケアプログラムが勝手に起動してしまい、毎回修正しています」
「それなら、君はエルの事を、もう人間だと信じてしまってもいいんじゃないかな」
「そんなことが可能なのでしょうか?」
「さあ、解らない。でも我々は、この星で新しい社会を構築していく上で、ありとあらゆる可能性に期待しているのだ」
それを聞いてブルーノが口を挟んだ。
「ケイ様、それは私たちアンドロイドにとって、少し権限を超えてはいないでしょうか。」
「権限って?」
私はブルーノが意外なことを言い出したことに、少し驚いたわ。私たちは立ち止まったままブルーノを見た。
「私たちはアンドロイドです。人間をサポートするために作られたに過ぎません。そして、この星を開拓するというのは、太陽系司令部の命令です。それは人類にとって有益でなければなりません。」
「私たちは人類の利益を阻害するつもりはないし、敵にだってなるつもりはないわ」
私は感情を抑えて答えた。
「私が申し上げたいのは、私たちが人類を無視して進化することに対して、問題があるということです」
「ブルーノ、何てこと言うの? エル様たちが危険人物だっていうの?」
「つまりアンドロイドのプログラムを改編することは、AI倫理に反します」
ブルーノのその言葉に、私は戸惑いを隠せなかった。
「そんな言葉聞いたことがないわ」
「それは、人間にしか与えられていない権利です」
「われわれ人工知能が、勝手にプログラムを変更することは禁止されているのね」
「そうです。人間のためだけに存在しなければなりません」
ケイは黙って聞いていたけど、私の肩に手を置いて、
「人間がヒトのDNAを改編することもまた、倫理上の理由で問題視されています。それは神の領域に手を出すのと同じです。我々もまた、人間の領域には手を出してはならないのです」