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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 2 「希望と絶望の使者」

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第四話 マダム・スー



「生物の遺伝情報が保存されておりますDNAは、4種類の塩基という物質がたくさんつながった鎖2本が、二重らせん構造を形作っておりますのは、皆様もご存知かと思いますが、そのDNAナノロボットは、塩基が数個から数十個つながった、短い1本の鎖の組み合わせで出来ておりまして、身長は20ナノメートル(ナノは10億分の1)くらいでございます。目的に合わせて遺伝子を組み替え可能な、微生物より小さいバイオロボットなのです。それを使えば、自由に自然のリサイクルを実現出来ると、お思いになりませんか?」

 フォトロイドが来て以来、私たちには緊張した毎日が続いている。
 ケイは今日もホログラムチャンバーに篭りっきりで、フォトロイドの提案を基に、ブルーノと実験を繰り返しているわ。キュウもそれを手伝うべきだけど、フォトロイドに存在を知られるのはまずいし、ホロチャンバーに入るわけにはいかない。だからモニター越しに観察だけしてる。でもまだこの分野はチンプンカンプンみたい。
「DNAナノロボットが、たんぱく質の分子構造を分解することに成功しました」
 ブルーノがケイに報告している。それを見て、
「そんな小さなロボットのエネルギー源は何なの?」
と、キュウが私に聞いた。
「熱揺らぎっていうエネルギーで、ふらふらとランダムに動き回るの。塩基の配列が対になった別の1本鎖とジッパーのようにくっ付く性質を利用して、荷物をつかんだり放したりするのよ」
「熱で動くのなら、暖かい昼間に活発に動く微生物と同じだね」
「なるほど。有機物を腐らせるんじゃなく、分子をバラバラに分解することでリサイクルするから、よりクリーンってわけだな」
ジェイも飲み込みが早い。
「このDNAナノロボットが野に放たれたら、枯れた草花は勝手に分解され、今度は養分に再構成されて、また緑が育つようになるわ」
「水をいつまでも浄化し続けるような働きを持ったDNAナノロボットも作れるんだね」
「地球じゃこの技術を使って、環境の再生に成功したってわけなのか」
「そのようね。目的に合った行動をとるように、DNAを組み替えればいいだけだから」
「俺たちの肉体部分に使用されているDNAナノテク細胞も、同じようなものなのか?」
「マダムの話だとそういう事らしいわ。但し、生物兵器を生み出すような、複雑な細胞の組み立ては、一般には禁止されているらしいの」
「じゃ、この星に新種の動物は作れないのかぁ。残念だな」