罪は重い。
「…絵衣ちゃん?」
背中からの声に、私は固まる。
(何故、こんな所に美伊が?!)
「今…隣のクラスの和井さんが……」
(い、いつから!?)
「…黒い 何かに?!」
(ひ、人よけの結界を…張り忘れた──)
<ノモマ> 存在を、他の人間に知られる事は禁忌だ。
それが約定。
私は、ゆっくりと振り向く。
「どうしたの絵衣ちゃん?! 何で泣いてるの!? 」
数歩下がって、呪符をかざした。
─ 喰っても良いのか? ─
頭上からの問い掛けに、私は かすれる声で答えた。
「…え、ええ ……た、食べて頂戴──」