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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 未来 三話

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「美那子、お母さんは賛成よ。三枝さんはあなたに特別の思いがあるからきっと大切にしてくれると思うの。私からお願いしますって連絡を入れておくわ。お父さんにはあなたから連絡しておいてね」

「うん、ありがとう。ねえお母さん、もう三枝さんの事は好きじゃないのよね?」

「ええ?お友達だからいい関係でいたいとは思うわよ」

「そう、なら良かった。何だか気持ちが少し楽になった感じがする。仕事をするようになればそちらに気持ちが移るし、お兄ちゃんやお母さんと今より疎遠になるかも知れないけどその方が美那子には良いのよね。これからは自分で決めて自分で歩いてゆかなくちゃいけないって思う」

「何だか大人になった美那子が素敵に見える部分と寂しく感じる気持ちとが入り混じるわ。秀一郎にもそれは同じ。親っていずれそういう時が来ることを覚悟しないといけないって思わされた」

「お母さんにとってお兄ちゃんは特別だったから余計にそう思うのよ。私にとっても一時期そうだったようにね。女心って守ってあげたいと思う気持ちが勝りすぎるといけないのよね。私もこれから恋愛をすると思うのでその辺は気をつけたいって思っている。愛されることと愛することはイーブンがベストだって考えちゃうの」

「あなたも男の子が出来たらお母さんの気持ちが少しは解るのかもね。男の人にだってのめり込めば見えなくなることがあるから後で後悔する。女は損をするから本当に気をつけないといけないわ」

「お母さんは私を妊娠したことで損をしたと思った?」

「何故そんなことを言うの?あるわけがないじゃない」

「そうよね。お父さんが出て行っても私やお兄ちゃんの生活は変わらないし、これから幸せになってゆく道筋は見えているからね。お母さんだって寂しいことが無いからイキイキしているし。結婚はまだ考えられないけど絶対的な選択ではないと思う」

「どういう事?恋愛はしても結婚はしたくないって言っているの?」

「わからないけど、好きな人は結婚すると失ってしまうんじゃないかって考えたりするの。恋愛が自分の中で大きく存在しているなら結婚しない方が幸せが続くかも知れないって。いろんな男性と付き合いたいって言うんじゃないのよ。お互いに束縛することが恋愛の基本だから、それを手放したら恋愛は終わるって思うから、純粋な気持ちでいるために生活を持ち込まない方がいいのかなって、そう考えているの」

美那子が言うことは恋愛の本質だろう。


*次回が最終回となります。