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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 未来 三話

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秀一郎の未来が少し見えている。
母親の美樹も先が見えだした。
残るは成人式を終えた美那子だけが就職も含めて先が見えない。

成人式の後同級生たちと二次会三次会へ出掛けて楽しく時間を美那子は過ごしていたが、彼の話になるとみんなからどうして?と聞かれる。
好きになれる人が現れないと返事してその場を逃れるが、不思議と自分自身過去に兄に対して感じていたような性欲は影を潜めていた。

恋愛倦怠期であろうか、兄と母親が楽しくやっているのを見て疎外感を感じるからだろうか、少し自分の殻に閉じこもるようなところを見せていた。
前にバイトをしていたコンビニへ久しぶりに立ち寄った美那子は偶然来店していた三枝芳之と再会する。

「美那子ちゃん!」

「あっ、三枝さん。お久しぶりです」

「へえ~大人になったねえ。成人式だったよね?」

「はい、母に着物買ってもらいました。ちょっぴり大人になった気分です」

「それは良かった。時間あるなら少し話したいけどいいかな?」

「もちろんです。三枝さんは特別なので・・・」

美那子が言った特別なのでという意味を三枝は直ぐにわかった。
あえて聞かなかったが目と目がその答えを確認している。
いろんな話をして最後に就職のことを尋ねられて美那子はまだ決めていないと悩んでいることを伝えた。

「そうか、美那子ちゃんが良ければの話だけどこの先のコンビニ事業拡大で人材が要るんだよ。女性のマネージャーも視野に入れているので、うちの会社に来ないか。面接だけ受けてくれれば合格は間違いない。指導は担当者がするけどおれも参加するから心配しないで良いよ。どうかな?」

「ありがとうございます。そこまで言って戴けて嬉しいです。母が賛成してくれれば決めたいと思います」

「早速話してくれよな。返事を楽しみしているよ」

家に帰って来て美那子は母親にこの話をした。
秀一郎は父親のコネで自分の勤める銀行に入社させた。
美那子は本当の父親である三枝のコネでコンビニ事業を展開する大手スーパーへ入社しようとしている。
美樹にとって子供たちの未来は明るいものに見えた。