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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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グレイ家の兄弟 THE MOVIE 「暴走中」

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 G4と女性陣は、お互いに歓喜と感謝のハグをした。そのとき、地鳴りのような音がした。全員がその音に気付いた。
「これは、もしや…」
 ブライアンが、上を向いてつぶやいた。そう、建物が崩れ始めたのだ。
「ヤバい!神殿が崩れる!」
 ロジャーが叫んだ。
「よしおまえら、脱出するぞ!!」
 フレディが言うと、みんなは大急ぎで走った。
 
 走り続けていると、来たことのない道に入った。
「おい、あれを見ろ!」
 フレディが指さしたほうを見ると、1段高いところにレールが敷かれ、その上にトロッコがあった。
「トロッコだ…」
 ジョンが言った。
「これに乗ろう!」
 フレディが言うと、弟たちは少し嫌そうな顔をした。そんなとき、アメリが切り出した。
「でも、脱出の手段はこれしかなさそうでス」
「う〜ん、確かにトロッコに乗ったほうが、速く移動できそうだ。全員トロッコに乗ろう!」
 ジョンが言うと、全員そのとおりにした。
「でも、どーやったら動くんだ、これ?」
 確かにトロッコは自動で動いてくれない。5人は、一番腕っぷしの強いフレディを見て、外に出るようにとジェスチャーで示した。彼は
(俺かよ)
 と思ったが、行動に出た。フレディはトロッコを懸命に押した。
「うりゃ、せりゃ」
 10歩ほど進むと、スピードが出た。彼もすぐにトロッコに乗り込んだ。その姿はまるで陸上でボブスレーをやっているようだった。

 6人を乗せたトロッコは、素晴らしいスピードで建造物内を駆け抜けた。フレディとロジャーのにぎやかコンビがやたらに盛り上がっていた。
「ひゃっほーーう!!」
 ほかの兄弟は口を閉じていたが、爽快な顔をしていた。女性陣はトロッコにしっかりつかまっていた。

 やがて、一行を乗せたトロッコは真四角の出口に近付いた。
「見ろよ、出口だ!」
 しかし、その先は大河である。
「出口っておい、水辺じゃねえかー!!」
 ロジャーがパニクりながら言った。フレディ以外の者たちの顔には困惑の色が浮かんだ。このまま進めば、水の中に突っ込んでいくことは必至だ。

 建物を抜けたトロッコが宙に浮いたとき、すごいことが起こった。何と、空中にトンネルができ、トロッコがそれを通っていったのだ。
「うおおお!突っ込むぞーー!」
 フレディが大声で言った。


 その後、6人は地上に放り出された。
「いててて。ん?ここ、どこだ」
 周りを見ると、そこは見覚えのある景色だった。
「俺たち、帰ってきたのか?」
 今度はロジャーが口を開いた。
「そうだ、ここ、僕たちが随分前にいたところだ」
 ジョンの言葉に、ほかの者もようやく状況を理解した。


 ― 別次元。1人の女が、歯ぎしりをしていた。ティナ・ジョンソンである。
「ぐぬぬ…。あいつら全員、別世界からの逃走に成功したばかりか、エクスキューショナーたちも倒したとはねぇ…」
 彼女は、一人一人の手配書を見た。― フレディ・グレイ5億オルエ、ブライアン・グレイ3億オルエ、ロジャー・グレイ8千万オルエ、ジョン・グレイ7千万オルエ、アメリ・ウェン5千万オルエ、ヒラリー・ヤン5千万オルエ ―
「…でもまあいいわ。またいつかあいつらを別世界で捕らえ、そして…!」


                                ― FIN ―