「美那子」 真実 二話
「そうね、それは言えるかも。お父さんに三枝さんとのことを疑われたときに本当なら叩かれるぐらい怒られても良いことだったのに冷静だった。その時に、ははあ~んって感じたの。解る?」
「最初から別れるつもりで話しをしたという事よね?」
「うん、そう感じたの。でもね、現実となるとやっぱりショックだった。あなたや秀一郎のお父さんなんだものね。それでちょっと秀一郎には話し相手になってもらっていたから美那子も変に感じたのかも知れないね。今は落ち着いているから大丈夫よ。それより静子ちゃんに彼を紹介したりしているけど自分はどうなの?あなたぐらいなら選べるって思うけどそれはいい過ぎかしら?」
美樹は話を美那子の恋愛に振った。
「お母さんを見ていて女なんだって思う。私の中にいるもう一人の性格がお母さんと同じように感じられるから。深い意味じゃなく、男の人に対する思いと言うのが軽率というか情緒的というか、嫌な言い方だけど抱かれたいという感情が強い」
「ええ?美那子はそんなこと感じているの?お母さんはそんなことないって思うけど、美那子だってとてもいい子よ。思い過ごしだって」
「ううん、お兄ちゃんに抱かれたいって思ったのよ。普通じゃない・・・」
美樹は突然の告白に言葉を失った。
「今はそんなこと思わないんでしょ?一時のことなら思い出として仕舞っておけば兄妹でいつまでも仲良く出来るって思うけど」
「お母さんはお兄ちゃんに抱かれても良いって感じる?親子と言いう関係じゃなければのことだけど」
「親子じゃなくても親子ほど歳が離れているからそうは思わないと思うけど、好き嫌いに年齢は関係ないって言うから否定する自信はないかも」
「私たち親子は異常ね。お母さんは年齢にしては綺麗だしスタイルもいいから、男の人が言い寄ってくると思うの。デパートなんかにいると余計にそう。自由に恋愛する機会はたくさんあるので、お兄ちゃんはやめて・・・お願い」
美那子の思いは核心をついていた。
作品名:「美那子」 真実 二話 作家名:てっしゅう