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炎の王妃【チャンヒビン】~月明かりに染まる蝶~・第三巻

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 大王大妃の予言も今度ばかりは杞憂にすぎなかったようだ。やはり、死期を悟った大王大妃もいささかあのときは気弱になっていたから、あんな禍々しい予言を洩らしたのかもしれない。
 未来の読み違えは能力のある占い師ですら、しばしばあることなのだ。
 オクチョンは、まさに幸福の絶頂にいた。人生で最高の瞬間を、最愛の男に心から愛された記憶を永遠に刻みつけるかのように、オクチョンは眼を閉じ、勝利の歓びに酔いしれた。 
 だから、オクチョンは見ることはなかった。
 王と王妃の席から少し離れた両脇に連なる王族席の末端、特別尚宮に任じられたばかりの若く美しい崔尚宮がオクチョンを見て意味ありげに口の端を引き上げたのを。