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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 歳上 二話

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「母さん、運転しにくいからまっすぐ向いていてよ」

「じゃあ、左手を繋いで」

ダッシュボードの上に置かれた手に美樹が右手を絡める。
秀一郎はチラッと母親の顔を見た。
何を考えているのだろうと想像した。三枝のことが忘れられないのだろうか、もっと下世話に言うとセックスが忘れられないのだろうか、普通の母親に対して感じるような気持じゃないことを思うのは自分も母親に女を思うからなのだろう。

「母さん、飲み足らないんじゃないの?帰ったら付き合うから飲もうか?」

「いいわね。本当のことを言うと中途半端に飲んだから飲みたいって思っていたの」

「今日は美那子が居ないから気を遣うことないよ」

「そうだったわね。確か静子ちゃんのところに泊まるって言ってたわよね」

「そう、ここへ来る前に静子ちゃんが家に来て一緒に出て行ったよ」

「だったら二人きりっていう事?フフフ~」

「変な母さん・・・」

秀一郎の悪い予感は当たる。

美那子が静子の家に泊まることはこれまでにも何度かはあった。
二人は夜食を買おうと美那子がバイトをしているコンビニへ立ち寄った。

「あれ美那子ちゃん!」

声を掛けてくれたのは三枝だった。

「三枝さん!お久しぶりです。その節はありがとうございました。一緒にいるのは幼なじみの静子ちゃんです」

「初めまして、三枝と言います。ここのコンビニを運営する会社に勤めているんだよ。店長の千佳はボクの妻です」

「初めまして。美那子とはずっと仲良しです。私もバイトしたいけど親が許さないからダメなんですよね」

「そうだね。美那子ちゃんのお母さんは理解があると思う」

「離婚しちゃったから美那子がバイトすることも学校は認めてくれると思う。そういう意味では羨ましいです」

「なるほど。言い方もあるもんだね。今日はどうしたのこんな時間に?」

美那子は静子の家に泊まると話した。お菓子の買い出しに来たとも言った。
三枝は事務所の奥に入って何やら持ち出して来て袋に入れて二人に渡した。
それは自分が奢るから持って行くようにとの好意だった。

「こんなことをして頂いては困ります」

「美那子ちゃん、いいんだよ。遠慮なんてしないでくれ。顔が見れてすごくうれしいからそのお礼だよ」

美那子は三枝がそこまで自分を思ってくれることは嬉しかったが更なる疑問が心によぎった。