「美那子」 歳上 二話
三枝は美樹と完全に別れて泣く泣く仕事に没頭せざるを得なくなっていた。
いい女を手放して悔しい思いをしている。
家に帰って妻を見ると更にその思いは強くなる。
いっそ離婚して、美樹にもう一度付き合いを迫ろうかとも考えたが、それは出来なかった。
理由は簡単だ。
美樹が絶対受け入れないだろうことを想像できたからだ。
美樹の三枝への思いは徐々に消えてゆく。引き替えにと言うのは偶然過ぎるが、職場で東京から定年前に新しく赴任してきた課長は美樹へ好意を抱く。
課長は美樹の容姿に惹かれた。
歓迎会をやろうと次の土曜日に閉店後居酒屋へ行くことになった。帰り時間一人では不安だったので秀一郎に迎えに来て欲しいと美樹は頼んだ。
お酒が入ると自分が変わってしまうことを自覚したのだろう。
土曜日の夜新任の課長歓迎会は終わろうとしていた。
三本締めをしてお開きになると美樹の傍へ課長は近づき二次会に付き合うよう話した。
「永田さん、これから二次会へ行くのですがご一緒にいかがですか?」
課長は本宮と言った。
「本宮課長、息子が迎えに来るので今日は失礼します」
「ええ?息子さんが迎えに来るの?どうして?」
「お恥ずかしいのですがお酒が入ると酷く酔っぱらっちゃうので心配だから迎えに行くと言うんです」
「へえ~親孝行な息子さんだね。じゃあ今日は諦めるけど、今度一緒に付き合ってくれないか?」
「嬉しいですけど、奥様に怒られますからご遠慮させて頂きます」
「そういう関係は望んでいないから安心してくれ。じゃあ、みんなが待っているのでこれで行くよ」
美樹は誘われたことは嬉しかったが不倫は二度としないと決めていた。
誰でもいいから抱いて欲しいとは思っていない。ただし、お酒が入るとそういう気持ちの縛りが解かれる。そのことを自覚しているから間違いは起こしていない。
秀一郎がやってきた。
「母さん、お待たせ。そこに車停めているから乗って」
「うん、ありがとう」
「誰と話していたんだ?」
「新しく就任してきた課長さんなの。二次会に誘われたけど断った」
「行きたければいいよ。おれ後でまた迎えに来るから」
「いいのよ、課長より秀一郎と一緒の方がいいの」
美樹はそれほど酔ってはいなかったが、酒の匂いは感じられた。
車の助手席に座ると頭を秀一郎の左肩に倒した。
いい女を手放して悔しい思いをしている。
家に帰って妻を見ると更にその思いは強くなる。
いっそ離婚して、美樹にもう一度付き合いを迫ろうかとも考えたが、それは出来なかった。
理由は簡単だ。
美樹が絶対受け入れないだろうことを想像できたからだ。
美樹の三枝への思いは徐々に消えてゆく。引き替えにと言うのは偶然過ぎるが、職場で東京から定年前に新しく赴任してきた課長は美樹へ好意を抱く。
課長は美樹の容姿に惹かれた。
歓迎会をやろうと次の土曜日に閉店後居酒屋へ行くことになった。帰り時間一人では不安だったので秀一郎に迎えに来て欲しいと美樹は頼んだ。
お酒が入ると自分が変わってしまうことを自覚したのだろう。
土曜日の夜新任の課長歓迎会は終わろうとしていた。
三本締めをしてお開きになると美樹の傍へ課長は近づき二次会に付き合うよう話した。
「永田さん、これから二次会へ行くのですがご一緒にいかがですか?」
課長は本宮と言った。
「本宮課長、息子が迎えに来るので今日は失礼します」
「ええ?息子さんが迎えに来るの?どうして?」
「お恥ずかしいのですがお酒が入ると酷く酔っぱらっちゃうので心配だから迎えに行くと言うんです」
「へえ~親孝行な息子さんだね。じゃあ今日は諦めるけど、今度一緒に付き合ってくれないか?」
「嬉しいですけど、奥様に怒られますからご遠慮させて頂きます」
「そういう関係は望んでいないから安心してくれ。じゃあ、みんなが待っているのでこれで行くよ」
美樹は誘われたことは嬉しかったが不倫は二度としないと決めていた。
誰でもいいから抱いて欲しいとは思っていない。ただし、お酒が入るとそういう気持ちの縛りが解かれる。そのことを自覚しているから間違いは起こしていない。
秀一郎がやってきた。
「母さん、お待たせ。そこに車停めているから乗って」
「うん、ありがとう」
「誰と話していたんだ?」
「新しく就任してきた課長さんなの。二次会に誘われたけど断った」
「行きたければいいよ。おれ後でまた迎えに来るから」
「いいのよ、課長より秀一郎と一緒の方がいいの」
美樹はそれほど酔ってはいなかったが、酒の匂いは感じられた。
車の助手席に座ると頭を秀一郎の左肩に倒した。
作品名:「美那子」 歳上 二話 作家名:てっしゅう