米粒
冬のホタル
せせらぎの音が聞こえる
その暗闇にホタルが飛んでいた
光は瞬くように見えたり消えたりしていた
そんな夏は遥か遠い記憶であった
いま来てみれば
一面が雪のなかであった
何の音もなく
遥か遠くに灯りが見える
まるでかまくらのように
その家はこんもりと雪に覆われていた
あるいは止まっているホタルのようにも見えた
あの夏のホタルの想い出が
フラッシュバックになって蘇る
浴衣の臭いが懐かしい
握りしめた手を
雪のなかの小さな灯りの中に捜しに来た
その灯りのなかに居るのは
ぼくの理想のあなたなのかも知れない