グレイ家の兄弟 Roger in a Rage
G4の三男は、相手を殴り過ぎて真っ赤になった自分の手をじっと見つめた。さっきまでしたことが、彼自身も信じられなかった。浅い呼吸を繰り返すロジャーのもとに、兄弟たちが駆け寄った。
「大丈夫か?」
ジョンが声をかけると、ロジャーは無言でうなずいたが、直後に無表情でつぶやいた。
「俺も、外道になっちまったかな…」
兄弟たちは少し言葉に詰まったが、長兄のフレディが、ロジャーの肩を抱いた。
「いや、おまえは外道なんかじゃない」
次兄のブライアンも、弟に目線を合わせて言った。
「そうさ。ちょっと行き過ぎだが、これ以上被害者を出すまいと起こした行動なんだと、今分かった」
ジョンも付け足した。
「あと大体、今回はガルーがクズすぎた。だから、ロジャー兄さんがあんな行動をするのも無理ないよ」
兄弟たちの優しいフォローを受けて、ロジャーはうれしさのあまり今度は泣き出してしまった。
「みんな…ありがと…」
ブライアンが苦笑いすると、自分の指でロジャーの涙を拭いてやった。
「全く。怒ったり泣いたり、忙しいやつだ」
フレディも困ったように笑いながら言った。ジョンは、ロジャーにほほ笑みとゆる〜いエルボーをかましてきた。
やがてG4が研究所に帰還し、アメリとヒラリーが出迎えた。
「あっ、皆さんおかえりでス」
「おかえり〜、みんな〜」
「ああ、ただいま。あれ、助けた子は?」
フレディが尋ねると、アメリが答えた。
「あ、あの子なら、ちょっと前に親御さんが迎えに来て、すごく丁寧にお礼を言って帰りましたでス」
「ほう、それはよかった」
ブライアンはそう言ってほほ笑みを見せた。
「それと、親御さんからお礼をもらったの」
「お礼?」
「そう、これよ。見て」
ヒラリーが封筒を見せた。その中身は、トゥアルィズのコーヒーチケット5枚だった。フレディの目が輝いた。
「トゥアルィズのコーヒーチケットキタ――(゚∀゚)――!!」
G4の長男はうれしさのあまり、四男とハイタッチを交わした。この明るい光景に、全員が笑った。
「あと、あの女の子からG4に伝言があるんでス」
「どんなの?」
ロジャーに聞かれると、アメリは深呼吸をして言った。
「『お兄さんたち、助けてくれてありがとう』とのことでス」
アメリを通しての少女の感謝の言葉を聞いて、彼らは照れ笑いした。
そして数日後、G4は早速コーヒーチケットを利用して、トゥアルィズコーヒーで楽しいひとときを過ごしましたとさ。
― TO BE CONTINUED ―
作品名:グレイ家の兄弟 Roger in a Rage 作家名:藍城 舞美