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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 信頼 二話

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秀一郎は美幸と仲良くしていることを美那子に知られたくないと思っていたが、この先美幸と美那子が何度か会っていると解ってしまうだろうと予測した。
自分から美那子に話そうとデートの帰り道思いを巡らせていた。

家に着くと父親の車がバックで車庫入れをしていた。帰ってきたタイミングが重なったのだろう。
先に入ろうとすると車から声を掛けられた。

「秀一郎、話があるから車に乗れ」

「ええ?中で話せばいいんじゃないの?」

「言えないことだから、ここで二人だけで話したい」

「解った」

助手席に座ると、父はいきなり信じられないことを言った。

「お母さんと離婚することに決めた。まだ話してはいないけど、先におまえに話しておきたいことがあるから言うんだ」

「ええ~本当にか?父さん、どうしたんだよ」

「お母さんは悪くない。全部おれの都合だ。だからこの家も預貯金も全部おいて行く。お母さんは仕事をしていないからお前と美那子が卒業して働くまで、自分の給料の半分は渡す。その代わりと言っては何だが、家のことは頼むよ。理由とかは聞かないで欲しい。まあ、お母さんには全部話すから後で聞いてくれ」

「何言っているんだよ。そんな身勝手な事。おれは良いけど美那子は悲しむぞ」

「うん、そうだな。お前が居るから大丈夫だろう。もう高校生だし」

「おれが居るからって、面倒見れないぞ。母さんだってすぐには働けないし。家の中を壊してまで離婚する理由があるのか?おれには判らないよ」

「だから、お母さんに話すから聞け。理由はちゃんとある」

秀一郎は父親が理由はちゃんとあると言った言葉に引っかかった。
ひょっとして美那子が自分の子供ではないという事がわかったのだろうか。
父親が家に入って、続いて自分が入ると母は珍しいね、一緒に帰ってくるだなんてと笑った。
もちろん秀一郎は笑えなかった。

美樹は夕飯の支度をして、今日は珍しく四人で食卓を囲んでいることを嬉しく感じた。美那子が黙っていたので秀一郎は気にしていた。

「美那子、どうした気分でも悪いのか?」

「なんで?」

「いつもみたいに喋らないからそう思ったんだよ」

「別に、何でもないよ」

「はは~ん、あの日だな?」

秀一郎は笑わせようと言ったのだが逆効果だったようだ。

「お兄ちゃん!最低」

美樹が慌ててフォローする。