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もしかして…

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「え…?!」

 朝、登校した僕は 下駄箱を開けて固まった。

 何故なら、中に可愛らしい封筒が入っていたから。

(も、もしかして…ラブレター?)

 慌てて周りの様子を伺う。

 近くには誰もいない。

 中の封書を、急いで上着のポケットに押し込んだ。

 乱暴に下駄箱の蓋を閉じ、歩きだそうとしたした瞬間、同じクラスの上田に声を掛けられる。

「─ おい、靴。」

「は?!」

 僕はまだ、上履きに履き替えてない事に気が付く。

 慌てて自分の下駄箱に戻り蓋を開こうとするが、何故か上手く開けない。

「西城…何をしてるんだ?」

 不審がる上田に、僕は声を上擦らせる。

「べ、別に!?」

 どうにか蓋を開き、上履きを取り出す。

 もどかしげに履き替えた後、今度は一発で蓋が開いた下駄箱に 脱いだ靴を放り込む。

「ちょ、ちょっと トイレに行ってくる!」

 鞄を放り出したまま、廊下の奥に向かって走り出す僕。

「何だ、我慢してたのかぁ」

 背中に、上田が声を投げ掛ける。

「鞄は教室に運んでおいてやるから安心しろ。漏らすなよー」

作品名:もしかして… 作家名:紀之介