グレイ家の兄弟 全ての始まり
グレイ家のニート兄弟がそんなふうに騒いでいると、眼鏡を掛けた白衣姿の太ったおじさんがやってきた。
「ほやほや、レーダーが強く反応してますなあ」
「あっ、ドクター・フリック」
フレディは、珍発明家を通称で呼んだ。
「ドクター・フリックのしわざかよ」
ジョンが、あきれたように言った。
「いったい俺たちに何が起こったんだ。説明してくれ」
ブライアンにそう言われて、ドクター・フリックは説明をはじめた。
「実はわし、『エレメンタルウエーブ』っちゅうものを開発したんだす」
「エレメンタルウエーブって、何だ!?」
「ほえ〜。エレメンタルウエーブというのは、火、水、雷、土の四つの属性を持つエネルギー体なんだす。それを浴びた生物は、その属性の能力を使えるんだす」
「じゃあ、俺たちの体に異変が起こってるのは、そのエネルギー体の影響なんだな」
ブライアンが真顔で言うと、ドクター・フリックがうなずきながら答えた。
「ほえ、そういうことだす」
「属性とかエネルギーとか、何かゲームの世界みたいだな」
ロジャーがちょっとワクワクしながら発言したが、末弟のジョンが心配そうに尋ねた。
「じゃあ、僕たちどうすれば元に戻るんですか。この体じゃ、普通に暮らせなくなりそうだ」
ドクター・フリックも困った顔をした。
「いや〜、それなんだすが…今、エネルギーを無力化する装置を開発中で、今しばらく時間がかかりそうだす。もう少し我慢してほしいだす」
グレイ家の四兄弟は、そろってため息をつき、長兄フレディがつぶやいた。
「マジかよ」
しかし、このときの彼らはまだ知らなかったのだ。自分たちがとんでもない戦いに巻き込まれることを。
作品名:グレイ家の兄弟 全ての始まり 作家名:藍城 舞美