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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 禁断 一話

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「ダメなの?美那子と三人で暮らそうよ」

「父さんと離婚しないという事が母さんの責任だと思うけどな」

「厳しいのね相変わらず。そうなのかもしれないけど、きっと喧嘩するようになると思う。それにもう求められても拒否だし」

「そういう事おれの前で言うなよ。子供だぞ一応」

「あっ!そうだった。ゴメン、聞かなかったことにして」

「遅いよ、もう」

美樹はまるで恋人と話しているような気分になっていた。
こんなに楽しいと思ったことは久しぶりだったのか、長話が続いた。

美那子は再びアルバイトがしたいと夕飯の時に美樹に相談した。
理由はお金じゃなくこの前立ち寄った時に千佳に戻ってくるように懇願されたからだった。忙しさに加えて募集しても土日に来てくれる人がいなかったので助けて欲しいというのが理由だった。

「お母さんはして欲しくないけど、あなたが頼りにされていることは嬉しいことだから、お父さんが良いというなら構わないわよ。でも学校には内緒なんだよね?」

「うん、バイトは禁止。特別な理由がある人は届ければいいみたいだけど。明日にもお父さんに聞いてみるね。ありがとう、お母さん」

「しばらくは土日だけするのよね?夜の遅い時間は絶対にダメよ」

「解っているって」

美那子は父親の許しを貰えて直ぐにバイトを始めた。
土日家には美樹と秀一郎だけになっていた。彰は少しの時間はいるけどすぐに出かけてしまう。接待とか言っているけど美樹は信じてはいない。
季節はクリスマスを迎えようとしていた。

「ねえ、今年のクリスマスは三人でホテルディナーへ行こうか?」

美樹はそう話しかけた。

「行きたいけどその日前後は超忙しいのでバイトが休めない。休むと迷惑が掛かる。あらかじめ社員バイト全員休まないようにと決めているし」

美那子がゆかないと言い出して美樹は少し困った表情をした。

「ええ~そうなの。仕方ないわね」

「お兄ちゃんと二人で行って来たら。どうせお父さんは都合悪いんでしょ?」

「お父さんは今年の仕事終わり前だからきっと残業になると思う。秀一郎はいいの?」

母親にそう聞かれて断れない。いや断ってはいけないと感じた。