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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 禁断 一話

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「母さんは自分がしていることをまったく反省してなかったんだね。ボクは美那子のことが好きだったけど兄妹だから諦めた。当たり前だと人から言われても自分の気持ちに強くブレーキを掛けていたんだ。なのに、母さんは浮気をしただけじゃなく・・・」

そこまで言ってやめた。想像だけで言う事ではなかったからだ。
美樹は秀一郎が何を言いたかったのかピンと来たが、まさかという思いは残っていた。

「あなたと美那子は兄妹なんだから垣根は越えられない。今の二人を見ていて先へ進む気配が無くなったからお母さんはとてもうれしいの。辛かったことは判るけど、私はどうすればいいの?あなたが恋人になれるわけがないし・・・」

秀一郎は母親が自分のことが好きだという、単なる親子関係を超えた感情を持ち合わせているとしたら、これまでのいろんなことが腑に落ちると考えた。
まさかそんなことは無いだろうと思いながら親しく接してきたが、離れないといけないと思うようになった。
妹だから制止できたが母親が泣きついてきたら、いけないと思いながら慰めてあげたいという気持ちをどこへ持って行くか悩む。

最後まで行かなくても美幸がしてくれたことを母はするかも知れないと頭をかすめた。

「美幸のことも大切にしないといけないけど、今は母さんの方が心配だから遠慮なく出かけたい時は言ってくれたら付き合うから、三枝さんと会うことはやめて欲しい」

「ほんと?美那子が変に思わないかなあ~」

「三人で出掛けてもいいよ」

「うん、そうね。でも二人がいい」

「なら、美那子には内緒かな」

「秘密ね・・・フフフ」

「なんか変な笑いかた、ハハハ~」

「実はね、お父さんどうやら浮気をしているらしいの。絶対に言わないでね」

「ええ~マジか・・・なんで判ったの?」

「話しぶりで。それにねこの頃よく出張に出かけていたじゃない。あれ、きっとウソか何回かに一度はデートをしていたんじゃないかって思う」

「父さんもバレるようなことしなければいいのに、母さんと言い本当に不用心だよ」

「あら、私に飛び火したのかしら?こういうのを藪蛇って言うのよね~」

「母さんはどうするの?離婚とか考えているの」

「まさか、お父さんが居なくなったら生活に困るでしょう。秀一郎が働くようになったら離婚して一緒に暮らそうかな?」

「ええ?本心で言ってる?」