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「うん、そうね。ねえ？少し飲みたくなったの。付き合ってくれない？」

「ええ？お酒？」

「そういえばあの時以来飲んでないわ」

「あの時・・・思い出させるなよ」

「ごめんごめん。ビールでいいわよね？」

「ああ、ビールがいい」

乾杯をして二人は飲み始めた。
よく見ると母親は短めのスカートを穿いていた。
三枝が喜ぶようにしたのだろう。

「秀一郎も男になったんだ。何だか複雑な気持ちだわ」

「どうして？」

「美幸さんに盗られたって感じ」

「美幸のお母さんも同じようなこと言っていたよ。友達で息子がいる人は恋人のように感じられるって。母さんがハグしたのはそうなんだって気付かされた」

「そんな話もしたんだ。あなたと美那子が仲良かったら中に入れなかったけど、本当は一緒に出掛けたりしたかったの。恋人と言うのは違うけど大好きよ」

「恥ずかしいよ、そんなこと言って」

「あら？顔が赤くなっているの、ハハハ～」

「笑い事じゃないよ。お酒のせいにして間違いを犯すなよ。俺だったからいいけど、違う人だったらそのまま・・・」

「そのままなに？」

「聞くなよ」

「秀一郎」

美樹はそう言うと抱きついた。突然のことに秀一郎は驚き放そうとするがしがみついている強さで簡単ではない。
母親は泣いているみたいだった。
許しを請うためにそうしているのか、美幸への嫉妬でそうしているのか解らなかった。

そんな状況でも秀一郎は意外に冷静だった。
母親の胸が柔らかく感じられた。それはブラをしていなかったからだ。
三枝に今日はミニスカートでノーパン、ノーブラで来いと言われていたからだ。何度も断ったが執拗に求められて応じていた。

ゆっくりと押し放すように秀一郎は母の両肩に手をやって、泣き顔を正面から見た。

「母さん、おれも美那子も味方だよ、どんなことがあっても。でも、家族も大切なつながりだから壊さないで欲しい」

「秀一郎・・・あなたは男になって大人になったね。母さんもっと好きになっちゃいそう」

「親子なんだから好きとか言うなよ」

「じゃあ、何て言うのよ？」

「言わなくていいよ。十分わかるから」

美樹は手に持っていたグラスのビールを一気に飲み干した。