夏とテストと天才と【青空学園project-第参弾-】
「俺は…俺はずっと亨のことが好きだった」
「……」
「お返事頂けないでしょうかmy honey?」
「…自惚れんな」
それだけ言って見つめる
後ろには大きな窓
真っ暗な空
そのとき一つ
大きな音を立てて
黒いキャンバスに
赤い朱い大輪の花
「あーはじまっちゃったかー
俺の予定ではここではもう…」
「リチウム…」
「いや今のはカルシウムだろ」
ひとつひとつの花火の間の間隔は約10秒
音速は340m/s
距離は…精々2kmか
音が重なるこのタイミング
「…好きだよ…」
音にまぎれて聞こえるはずもなく小さく呟く
「知ってた?俺、読唇術心得てるんだ」
全くコイツはどこまでも…
取りあえず一発殴る
シャツの衿元をつかんで引き戻して
あなたに誓いのキスを
あんなにも嫌いだった空を証人にして
作品名:夏とテストと天才と【青空学園project-第参弾-】 作家名:魚と猫