おはよぉ…
「おはよぉ」
階段を登り切り、廊下に出た瞬間。
先に登校していた、一子ちゃんに出くわしました。
「ん!?」
不機嫌そうな綾ちゃんの手を、私が引いている事に気が付きます。
「あ! そう言えば…」
不穏な香り嗅ぎ取り、踵を返そうする一子ちゃん。
その腕を、空いている手で綾ちゃんが 乱暴に掴みます。
「いーちーこー」
「な…何? 怖い顔して」
「私達3人、友達じゃないの?」
唇を噛んで涙目の綾ちゃん。
私は急いで答えます。
「と、当然じゃないの!」
この手の話題が苦手な一子ちゃんは、渋い顔で固まっていました。
事態が事態なので、私は肘で突きます。
「…何か言ってあげて!!」
「き、嫌いな人間とは…四六時中一緒に行動しないし。」
「ほら! 一子ちゃんも こう言ってるでしょ♡」
納得いかない様に、綾ちゃんは 2人を睨みました。
「─ じゃあ、昨日は?」
「えーとぉ…綾ちゃん??」
「知ってるんだからね。」
「落ち着け、綾」
「私に内緒で、2人で何処かに行ったよね?」
「いや…だってね? 綾ちゃん!?」
「どうして私だけ…除け者にするの!」