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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 距離 三話

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「美那子と話してくるから、あなたは心配しないで美幸さんとデートしなさいね」

「何を話してくるんだよ?」

「お母さんね、美那子の気持ちが痛いほどわかるの。同じ女だからね。あなたは未経験だから仕方ないけど、美幸さんと仲良くすることが美那子のためだと思いなさいね」

秀一郎はまた母親が意味不明なことを言うと感じた。
残念ながら美那子の深い思いに気付けなかったようだ。

約束の日が来て秀一郎は美幸とデートした。
昼ご飯を済ませてどこに行こうかと聞かれて美幸は答える。

「ねえ、外は暑いし、お母さん用事で出掛けているので家には夜まで誰もいないから来ない?何でもゆっくりと話せるし、いいでしょ?」

「お前の家に行くのか?何か気が引けるよ」

「大丈夫よ。兄弟は私しかいないから心配しないで」

「そう言われてもなあ~外じゃいけないのかい?」

「秀一郎さん何か断ろうとしているみたいね」

「何かってよくわかんないけど断るんじゃなくて家に行くのはどうかなって思うだけだよ」

「美那子ちゃんやあなたは家に友達は連れてこなかったの?」

「そういうわけじゃないけど、おれも美那子も異性の友達は連れてこなかったよ」

「それはお互いに付き合う人じゃなかったからでしょ?私とあなたはこれから仲良くしようとしているのだから遠慮はしないで。そちらのお家にも行きたいし」

秀一郎は厄介なことになったと思った。
行けばどうなるかぐらい想像できる。いっそ自分の家に誘えば美那子もいるし、母もいるから絶対に変なことにはならないって考えた。

「じゃあ、俺んちへ来いよ」

「ええ?美那子ちゃんやお母さんがいるんじゃない?」

「いても構わないと思うけど」

「秀一郎さんは私の気持ちなんか解ろうとしないのね。なんかがっかりした」

「がっかりするもなにもまだ友達なんだよ。美幸さんの事をもっと知ってからでないと付き合うという関係にはなれないよ」

「そうよね。だからもっと知って欲しいから誘っているの。秀一郎さんの事好きになりたいからまずは私を知って欲しいの」

秀一郎はこのまま美幸の家に行き体の関係が出来たら絶対に美那子がいい顔をしないと思っていた。理由は口では初体験できるチャンスよなんて言うが本心は嫌に違いないと想像するからだ。
長い時間、二人にとってはそう感じられた時間が過ぎて重い口を開いた。