金曜日のアウトドア 中編
ヴォルフスヴァルトの中でかくれんぼをしている、いい年こいてる6兄弟。しかし、1人に悲劇が起こった…。
ときを若干遡る。ヨシュアは森の一地帯に、ほぼ等間隔で並ぶ、自分の背丈より僅かに高い石柱群を見つけた。
「何これ。何かお墓みたいだ」
そう言いながらも、彼はその間を通った。
「いや待て。ここ、もしかするといい隠れ場かも」
大きめの声で独り言を漏らすと、石柱の1本にピッタリとくっ付いて、周りをうかがった。
5分たったが、誰も通る気配がない。もしかすると、ヨハン自身が迷子になったのかもしれない。ヨシュアはそう感じ、少し心配になった。そのときである。彼の100メートルほど後ろから、木を伐採する機械のような音が聞こえた。彼は音のしたほうを見たが、そこには何もいない。
「動物の鳴き声かな」
そう言ったあと、自分が寄り掛かっていた石柱を何気なく見ると、何とそこには赤い文字で【ヨシュア】と書かれていた。彼はゾッとした。
(ええっ、ヨシュアって俺のことかよ…縁起でもないなあ)
心の中でつぶやいて隣の石柱まで行くと、さっき聞こえた嫌な音がさっきよりも大きく聞こえてきた。
(さっきの音だ…つーか、こっちに来てる…?)
ふと横を見ると、狼マスクをかぶった1人の人間がいた。
「ププーッ、狼のやつかぶってる〜。あ、いや、ごめんなさい」
するとその人は、こすり出すような声で
「キ、キ、ユ、ユ」
と意味不明なことを言うと、彼の後ろに回り、彼の脇腹にチェーンソーの刃を当てた。
(!?)
狼マスクは、そこでスイッチをオンにした! ― ヨシュアの悲鳴がこだました ―
作品名:金曜日のアウトドア 中編 作家名:藍城 舞美