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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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機械人形アリス零式

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 ドライはもう一丁の銃を拾おうと床を転がるが、それをシュバイツが許すはずがなかった。
「シャドービハインド」
 突然、シュバイツは床の上で拳銃に手を伸ばすドライの前に出現し、拳銃に伸びるドライの手を強く踏みしめたのだった。
 苦痛に顔を歪ませるドライ。しかし、その表情が代わったのだ。相手をあざ笑う表情に――。
 シュバイツは異変に気づき叫んだ。
「なにをする気だ!」
 アリスが唱える。
「コード008アクセス――〈ショックウェーブ〉発動!」
 アリスを中心として電波が水面に落ちた雫のように広がり、パイプオルガンのパイプを共鳴させながら振るわせた。
 パイプオルガンの中に張り巡らされていた装置が火花を上げた。
 轟音が鳴り響き、パイプオルガンが大爆発を起こす。
 それを悲愴の面持で見つめるシュバイツ。
「嗚呼、なんてことだ」
 銃声が響いた。
 ドライの向けた銃口の先にはシュバイツがいた。その胸の中心から滲み出す紅い血が、タキシードの下に着ていた白いシャツを彩った。しかし、シュバイツは銃で撃たれたことなど気づかないように、その場に立ち尽くし、爆発して崩れていく自分の芸術を呆然と眺めていた。
 教会全体が激しく揺れ、天井が崩れてきた。
 ドライが叫ぶ。
「逃げるよアリス!」
「承知いたしましてございます」
 教会の中で立ち尽くすシュバイツを、二人が振り返ることはなかった。
 二人が教会を脱出したと同時に、教会は轟音を立てながら全倒壊してしまったのだ。

 それからのことをアリスはなにも知らない。
 ドライになにも言うなと念を押され忠告され、情報はなにもアリスの元に入ってこなかったのだ。
 マナの屋敷に帰ったアリスは何事もなかったように雑務をこなし、いつものような時間が過ぎた。
 アリスにとって、今日はいつもと変わらぬ平凡な日だったのだ。