「美那子」 距離 一話
母親の不倫のことで秀一郎と美那子は少し意見が異なっていた。これは男女の違いという事もあるだろうが、倫理観も多少はあると思える。
どちらかと言うと美那子は性には開放的であり、秀一郎は純粋である。
忘れかけていた旅行で知り合った美幸から電話がかかってきた。
美那子が応対する。
「こんにちは~美那子です。こちらから電話をしないとって思っていたのにすみません」
「いいのよ。ところでお兄ちゃんって今いる?」
「兄ですか、バイトでいませんけど何か伝言しておきましょうか?」
「うん、それならいいの。ねえ?今度三人で会わない?学校の傍のカフェでどうかしら?」
「いいですね。夏休み中ならいつでも構いません」
「じゃあ、秀一郎さんの都合を聞いて連絡して。待っているから」
美幸は美那子を傷つけないように配慮した。それとなく二人は好き同士だと解っているからだ。バイトから戻ってきて電話があったことを聞かされた秀一郎は何だか嫌な予感がした。自分から先に掛ければ良かったと反省した。
食事の時にこの話題が出た。
「ねえ、お母さん。美幸さんって覚えている?」
「ええ、お風呂であなたが話していた人でしょう?」
「そう。その人から電話があって、今度お兄ちゃんと三人で会うことになったの」
「へえ~そうなんだ。それは良かったね。お友達が出来たじゃない」
「うん、でもね電話の時にお兄ちゃんいる?って聞かれたの。仲良くなったのは私だったのに、美幸さんお兄ちゃんが好きになったのかなあ~」
秀一郎は苦い顔をして黙っていた。
「秀一郎、美幸さんから何か言われたの?」
「母さん、どういう意味だよ」
「だって、あなたにって電話が掛ってきたって言うじゃない」
「知らないよ。もし美那子が言うようなことだったら、会いたいと思わないからその日は行かない」
「美那子が約束したのよ。顔を潰すようなことしちゃダメ」
美那子は母親からそう言われた秀一郎に追い打ちをかけるように続けた。
「そうよ、お兄ちゃん。三人で話すんだからいいじゃないの?」
「そういうなら行くよ。おれのバイトの日を教えておくから入ってない日ならいつでもいいよ」
美那子はさっそく一番早い明後日を選んで美幸と約束した。
美樹は美那子が入浴している時間に秀一郎の部屋をノックした。
どちらかと言うと美那子は性には開放的であり、秀一郎は純粋である。
忘れかけていた旅行で知り合った美幸から電話がかかってきた。
美那子が応対する。
「こんにちは~美那子です。こちらから電話をしないとって思っていたのにすみません」
「いいのよ。ところでお兄ちゃんって今いる?」
「兄ですか、バイトでいませんけど何か伝言しておきましょうか?」
「うん、それならいいの。ねえ?今度三人で会わない?学校の傍のカフェでどうかしら?」
「いいですね。夏休み中ならいつでも構いません」
「じゃあ、秀一郎さんの都合を聞いて連絡して。待っているから」
美幸は美那子を傷つけないように配慮した。それとなく二人は好き同士だと解っているからだ。バイトから戻ってきて電話があったことを聞かされた秀一郎は何だか嫌な予感がした。自分から先に掛ければ良かったと反省した。
食事の時にこの話題が出た。
「ねえ、お母さん。美幸さんって覚えている?」
「ええ、お風呂であなたが話していた人でしょう?」
「そう。その人から電話があって、今度お兄ちゃんと三人で会うことになったの」
「へえ~そうなんだ。それは良かったね。お友達が出来たじゃない」
「うん、でもね電話の時にお兄ちゃんいる?って聞かれたの。仲良くなったのは私だったのに、美幸さんお兄ちゃんが好きになったのかなあ~」
秀一郎は苦い顔をして黙っていた。
「秀一郎、美幸さんから何か言われたの?」
「母さん、どういう意味だよ」
「だって、あなたにって電話が掛ってきたって言うじゃない」
「知らないよ。もし美那子が言うようなことだったら、会いたいと思わないからその日は行かない」
「美那子が約束したのよ。顔を潰すようなことしちゃダメ」
美那子は母親からそう言われた秀一郎に追い打ちをかけるように続けた。
「そうよ、お兄ちゃん。三人で話すんだからいいじゃないの?」
「そういうなら行くよ。おれのバイトの日を教えておくから入ってない日ならいつでもいいよ」
美那子はさっそく一番早い明後日を選んで美幸と約束した。
美樹は美那子が入浴している時間に秀一郎の部屋をノックした。
作品名:「美那子」 距離 一話 作家名:てっしゅう