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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 疑惑 一話

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「秀一郎さん!どうしたの?気にしなくてもいいですよ、入ってください」

「いや、違うんだよ。酔い覚ましで散歩していただけなんだ」

「ええ?じゃあ、誰かいると思って覗いたって言うわけ?」

「そういう言い方しないでよ。女の子が入っているかどうか見たわけじゃないし」

「怒らないから、一緒に入ろう」

「タオル持ってないからダメだよ」

「私も裸だよ。見えるでしょ?それとも暗いからわかんないか、ハハハ~」

「キミも酔っているんじゃないのか?変だぞ、そんなこと言うだなんて」

「そう、酔い覚ましに来ているの。お風呂が一番って教えてもらったから。だからあなたも入ればいいんじゃないの?」

「いや、戻るよ。のぼせないようにしてよ」

「待って」

そう叫んで美幸は立ち上がった。秀一郎の目には素っ裸の女がそこに立っているのが
嫌がおうにも突き刺さった。
美那子以外の女性の裸を初めてみた秀一郎はある場所にあるものが見えないことに何故?という気持ちになっていた。

「秀一郎さん、私も帰るから待ってて」

そう言って目の前に近づいてきた。見たいけどいけないと思い顔をそらせた。
浴衣を羽織ってすぐに傍へ来ると秀一郎の右腕をぎゅっと握って自分の胸に押し当てた。

「何するんだ!」

「野暮なことを言うのね~誘っているのに」

「会って間もないのにそんなことをするだなんておかしいよ」

「初めて見たときから素敵だって感じたの。酔っていても本心は同じよ。妹さんには内緒にするからいいでしょ?」

「そういう問題じゃないよ。部屋に戻るから、着いてこないで」

「冷たいのね。私なんかには興味が無いっていう事なの?それとも好きな人がいるの?美那子ちゃんが彼女いないって教えてくれたから、ひょっとして好きなのは・・・」

「好きとか嫌いとかじゃないよ。付き合ってもいないのに誘惑するだなんておかしいと言っているんだよ」

「女に恥かかせて、二度と顔が見れないじゃないの」

美幸はそう言うと座り込んで泣き出した。
秀一郎は前に美那子に女心がわかってないと指摘されたことを思い出していた。