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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 疑惑 一話

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冬場ではないので長くは露天風呂と言っても浸かってはおれない。三人はホテルへ戻ると挨拶をして、湯船から出た。もちろん秀一郎の男性も平常に戻っていた。

一階にある食事処で夕飯を食べることになっていた。
湯上りだったので喉が渇いていて生ビールを飲もうと美樹と秀一郎は注文した。美那子はタバコとアルコールには興味が無かった。
母親の酒好きは秀一郎に受け継がれたようだ。

「お母さん、もうやめたら、飲み過ぎよ」

美那子にそう諭されて、

「いいじゃないの、泊まるんだから。それにあなたたちがいるから安心だし」

そう言ってお代わりを頼んだ。
運ばれた生ビールを持って秀一郎のグラスと乾杯をする。同じ量を飲んでいたが、美樹はすでに酩酊手前の状態だった。

部屋に戻る時も一人では歩けない状態になっていた。
美那子を先に返して、秀一郎は母親を抱きかかえるように支えてエレベーターに乗り、ゆっくりと部屋に向かっていたが、急に崩れるように床に倒れて、仕方なくお姫様抱っこをして部屋に入った。

敷かれていた布団にゆっくりと下ろそうとすると、首に巻かれていた手に力を入れ、秀一郎の顔に自分の唇を近づけた。

「母さん!何しているんだよ」

ハッと気づかされたのか、一瞬正気になった美樹は朦朧としていた中で芳之にいつものような抱っこされてベッドに運ばれているような感覚になっていたのだ。

「秀一郎・・・」

「秀一郎じゃないよ。母さんこの頃変だよ。美那子がいるから大きな声で言えないけど、母さん三枝さんと何かあるんじゃないの?」

美樹は答えられなかった。さらにギュッと抱きつくようにして醜態をごまかしていた。

「お母さん!お兄ちゃんに何で抱きついているの!もう~酔っぱらっちゃって、恥ずかしいわ」

「美那子そう言うなよ。多分意識ないよ」

「また、お母さんに甘いんだから。まんざらでもないんじゃないの?」

「バカなことまた言って」

手を振りほどいて布団に下ろすときに自分の右手が母親のお尻の下になり、なんとも言えない感触を感じた。
後を美那子に任せて、秀一郎は部屋を出て夜風に当たろうとロビーから下駄を履いて昼間に入った露天風呂の方へと歩いた。
入るつもりで行ったのではないが、同じ方向に散歩できる道があったから歩いて行った。

誰か入浴している人がいる気配を感じて覗くと、昼間一緒だった美幸がいた。
彼女一人だけだった。
なんだか目を合わせてはいけないと思いすぐに去ろうとしたとき声を掛けられた。