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罠だ! ライダー!

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 思わず猫じゃらしに飛びついてしまった猫娘こと猫熟女の目が大きく見開かれ、瞳が縦一本線になる。

 ドッカ~ン!

 猫娘こと猫熟女は爆発の直撃こそ何とか避けたものの、爆風で空中高く舞い上がる。
「着地に気をつけてね」
 レディ9の言葉にきっ!となる猫娘こと猫熟女。
「猫を舐めるんじゃないわ! このくらいの高さからなら音もなく着地して見せるわよ!」
「その高さでも?」
「え? あっ、ああああああああああああああああああああああああ……」
 空中で一回転を決めた猫娘こと猫熟女が着地しようとした場所、そこは既に崖の縁の外側。
「あらぁ、50メートルはあるわね、無事に着地できるといいけど」
 猫娘こと猫熟女は『(゚Д゚)』の表情を貼り付けたまま遥か下へと落ちて行った……。


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


「くっ……手ごわいな」
 ライダーは苦戦していた、鷲男の急降下攻撃は思いのほか速く、爪も鋭い。
 それにも増して脅威なのが嘴攻撃、直撃を食らえば致命傷になりかねない。
 急降下して来るのを正面から迎え撃って羽を狙ったパンチ、キックを浴びせる作戦だったが、大きな羽に似合わず体を瞬時にひねって直撃させない、それに正面から迎え撃って一歩間違えば嘴の直撃を受けてしまう恐れもあるのだ。
 このままではジリ貧だ、罠の位置は頭に入れて戦っていたはずだが、後ろに地雷原、左右に落とし穴と袋小路に追い詰められてしまった。
「くそっ、このままでは……」
 急降下で勢いをつけた鷲男が地面すれすれで水平飛行に移り、正面から迫る。

「ぎゃっ」
 悲鳴を上げたのはライダーではなく鷲男だった。
 大きく広げていた翼、その左の翼から羽が飛び散り、鷲男はコントロールを失って地面に転がった。
「な、何だ! 今のは!」
「晴子ちゃんか!?」
 ライダーが見ると、晴子はお札を高く掲げている。
(助かった!)
 ライダーは晴子に大きく頷いて見せると、晴子も大きく頷いた。
 晴子は親交を持つようになった雪女のお雪から妖怪を呼び出すことができるお札を託されている、今使ったのは一瞬の真空状態を鋭い刃物のように操る『かまいたち』、鷲男にもその攻撃は見えなかったのだ。
 だが鷲男もさるもの、すぐに立ち上がると再び飛び立った。
 しかし、かなりの量の羽を失っている、急降下体勢に入ったものの体が左右にぶれている。
(ここだ!)
 先程までのように微妙なコントロールが出来ないことを見越して狙い済ました回し蹴りハイキックが右の翼の根元を直撃した。
「ぎゃっ」
 小さく叫んだ鷲おとこはそのまま崖面に猛スピードのまま突っ込んで行った。
「ありがとう、晴子ちゃん、おかげで助かった!」
 笑顔を返す晴子、しかし彼女に地獄大使の電磁鞭が迫る。
「危ない!」
 ライダーは鞭を蹴り払おうと大きくジャンプしたが、間に合いそうにない!
 しかし、その瞬間、地面が急にめくれ上がった、いや、『ぬり壁』が立ち上がって晴子を守ったのだ。
「よくやってくれた、ぬり壁! 奴は俺に任せてくれ!」
 ライダーは地獄大使にキックを浴びせようと再びジャンプしたが、地獄大使は煙玉を破裂させて姿をくらませた。


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


 残るは一極、自称フリージャーナリスト・安藤耕介、その実ショッカーの怪人・カワウソ男VSライダーマンの戦いだ。
 カワウソ男は長い胴体を巧みにくねらせ、短い手足ながら素早い動きでライダーマンのアタッチメントアームによる攻撃を封じる。
 しかしその実、ライダーマンは翻弄される振りを見せながら機会をうかがっていた、彼が装着しているのはロープアーム、一度発射すればロープの回収に時間がかかってしまうのだ、そしてそれでも勝算があったのだ。
 カワウソ男はすばしこいが攻撃力そのものはそう高くない、ライダーマンは強化スーツをボロボロにされながらも辛抱強く勝機を待った。
 一方、カワウソ男は、致命傷を与えられないまでも一方的な展開に調子づいていた……。
(今だ!)
 ライダーマンのロープアームが発射される、だが狙いは遥か上にはずれた。
「ははは、どこを狙っているんだ、焦って墓穴を掘ったな!」
 カワウソ男の高笑いに、ライダーマンは余裕の笑顔を見せて、悠々と右腕に新たなアタッチメントを装着した。
「何っ!」
「墓穴を掘ったのはそちらのようだな、自分たちが設置した罠に自分でかかるとはな」
「くっ……何の!」
 ライダーマンが狙ったのは切り立った崖の上に不安定に設置された岩、ロープアームの衝撃で転げだした岩はたちまち土砂崩れを誘発してカワウソ男に迫る。
 土砂崩れと共に落下して来る岩こそ避けたものの、流れ落ちる土に足をとられて思うように動けない、何とか土砂崩れから逃れたと思うと目の前にはアタッチメントを構えたライダーマン。
「くそっ、これまでか」
「安心しろ、命までは取らないよ、だが今度こそ本当に生け捕りにさせてもらうぞ」
 ライダーマンのアタッチメントから噴出したのは冷凍ガス、カワウソ男はたちまち氷漬けになった。


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


「見殺しにするおつもりですか!?」
「人の命より大切なものってあるんでしょうか!」

 官房長官の定例会見、記者たちの非難の声を浴びながらも、菅野官房長官は悠然と構えていた。
 新聞各社は安藤を『我が身の危険を顧みず、勇敢にもショッカーのアジトに潜入して不幸にも拘束されてしまったフリージャーナリストの鑑』と持ち上げ、救出に腰を上げようとしない政府を口を極めて批判している、この定例会見はさながら公開処刑になるはずだった。
 そして『政府の対応が注目される』としてTV局もこぞってカメラを入れて生放送している。
 そんな中……。
「ああ、そう、届いたの」
 官房長官は秘書の耳打ちを受けて、記者たちに向き直った。
「面白いものをお見せしましょう」
 運び込まれたのは氷付けのカワウソ男、秘書たちがガスバーナーで熱風を送るとみるみる溶け出して……。
「熱っ! うわっ、何だこれ? 熱っ!」
 解凍されて蘇生したカワウソ男だが、熱風にさらされて思わず変身が解けてしまう。
 そして現れたのは『ジャーナリストの鑑』であったはずの安藤耕平の姿。
 今度は記者席が凍りつく番だった……。


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


「ありがとう、おかげで溜飲が下がったよ」
 菅野官房長官がおやっさんに感謝の電話を入れている。
「これでマスコミも反政府一点張りから方向転換するかな」
「いや、そんなに甘くはないよ、生放送で流れたわけだが、明日になれば何事もなかったようにまた反政府を始めるだろうよ」
「何にもならなかったわけか……」
「そんなことはないよ、マスコミの態度は変わらないだろうが、マスコミの報道姿勢に疑問を持つ人はぐんと増えたはずだ、彼らが公正な報道をしているかどうか、そこに疑問を持つ人が増えれば上々だよ」
作品名:罠だ! ライダー! 作家名:ST