④冷酷な夕焼けに溶かされて
「だって、性欲処理の時は誰でも隙が生まれるでしょう。そんな危険な時を共有してもいい、ましてやその相手にと選んでくださるなんて、何よりの信頼の証だと思うから。」
思いがけない答えだったのだろう。
ミシェル様もフィンも、同時にハッとした。
「…めでたいな。」
掠れた声で、ミシェル様は呟いた。
「ふふ。そうですね。」
笑い声を漏らす私を、ミシェル様もフィンもじっと見つめる。
「だから、ミシェル様のお役に立てることでしたら、何でもさせてください。」
私が満面の笑顔を返すと、ミシェル様の夕焼け色が冷酷に光った。
「…何でも?」
低い声が、妙に色っぽい。
試すように向けられた視線が艶を帯び、むず痒さが身体の芯を駆け抜けた。
ミシェル様の色香に、ぞくりと身震いする。
「二言はないな?」
念を押すミシェル様に、私はしっかりと頷いた。
「もちろんです。」
すると、ミシェル様の瞳が怪しく光る。
「では、命じる。」
その冷たい声を聞いた瞬間、内容を聞いていないのに、なぜか心の中に後悔が生まれた。
「ルイーズと婚姻しろ。」
(つづく)
作品名:④冷酷な夕焼けに溶かされて 作家名:しずか