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俺はキス魔のキッシンジャーですが、何か?【第三章】第二話

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「ホーホホホッ。人間ごときのそんなワザ、このワタクシに通用するとでも?カエルのションベンでも被ったぐらいしか効きませんわ。」
「お嬢様。せめて下品なキャラだけにはならないようご注意ください。」
「いたたた。こいつ、スゴいキャンセラーを出してるよ。からだがジンジンと痺れてるよ。」
桃羅は雪崩のように、玄関で崩れ落ちた。
「初めてって、いったいどういう意味だ?あんたのエロさはハンパないからな。」
「あら、そんなことを女の口に入れるなんて、ずいぶんぶっきらぼうな方ですわね。」
「お嬢様。女の口に言わせると換言させていただきます。」
「ワタクシも宇佐鬼大悟さんのことが気に入りましたので、ここに住まわせていただきますわ。」
「そんな勝手過ぎるだろ!押し掛け女房じゃあるまいし。」
「あらら。よくわかってらっしゃるじゃありませんの。ワタクシはそのカテゴリーに入れていただいても構いませんが。」
「まさか、あんたの狙いは。」
「お察しの通り、魔境放眼ですわ。大悟さんは意識してなかったようですが、黒霞雨を口説き落としたのは、弁舌だけではありません。魔境放眼の力で、彼女が一種のマインドコントロールをされたからですわ。ワタクシも大悟さんにマインドコントロールしてほしいですわ。それにワタクシがここにいないと大悟さんが困ることになりますわ。」
結局よくわからないうちに、華莉奈たちが居候することになった。

次の日。
「今日は転校生を紹介しちゃうよ。ホント、全然テンションがあがらないんだけど。」
教師桃羅は、教壇の横でふてくされている。
「ほら、桃羅ノイズの効かない転校生。ちゃっちゃと入りな。」
「あ~あ。ついに学校まで来ちゃったよ。どうなることか。」
「はじめまして。一条華莉奈と申します。宇佐鬼大悟さんの初めての相手ですわ。」
「初めて!?」「いつの間に?」「やっぱりキッシンジャーの二つ名は伊達じゃないわ。」「もう近寄れないわ。」「同じ教室にいるだけで空気感染しそう。」
総じてひどい言われようである。
「ワタクシのメイドも紹介しますわ。穂芙良です。ビンビンな悩力が自慢ですわ。」
「お嬢様。敏腕、能力と訂正させていただきます。でも自分で敏腕とか言うのは少々恥ずかしいですというのが普通の謙譲語ですが、本当に敏腕メイドです。」
「今日からたいへんだ。先が思いやられる。」
初めてゴーヤを食べた小学生のような顔色の大悟。
「忌々しいけど、実はもうひとり転校生がいるんだよ。」
教師桃羅も大悟と同じ表情をしている。
「さすが、血のつながった兄妹。大悟さん。来たわよ。やっぱりあなたは面白いからどうしてもここに来たくて。」
「居住区を区長が勝手に出てもいいのか。」
「大丈夫です。隣にいる一条会長に許可をもらいました。賄賂が私の入学道筋をつけてくれたの。」
華莉奈の手にはエロ本が10冊握られていた。
「黒霞雨。あんた何歳なんだよ。到底高校生じゃないだろう。」
「女性に年をきくなんて。でも答えるわ。永遠の16歳だから、問題ないわ。来年から1歳ずつ増やしていくわ。いいわよね、白弦ねえさん。」
「好きにせい。」
「お前たち、姉妹だったのか。」
「そうなの。正体を明かしたところで、私の気持ちも全開するわ。」
黒霞雨は大悟に抱きついた。
「こらー。それはモモの仕事だよ!」
《いや、まる、しばらくお姫様抱っこ、ご無沙汰。だんまり。》
「ショタイゴちゃんに戻ってほしいぞです。でも、このままでも欲抱の字。」
「ワタクシもついでに抱いてくださいまし。」
「お嬢様。これは甘い内角高めの打ち頃ストレートです。」
楡浬だけは、茫然と沈黙の戦艦として修羅場を眺めていた。


【エピローグ】
 騒がしい教室のいちばん前の席に座っている女子生徒。天体望遠鏡を背負い、双眼鏡、顕微鏡を首にぶら下げる、おとなしそうな彼女は思いに耽っていた。
(ご先祖の織田信長様は、人間界の宗教勢力制圧したあと、魔法伝家を潰して、地獄に行くという計画であったが、道半ばで挫折してしまった。以後、織田家は没落の一途。織田家に取って代わった徳川幕府が宗教勢力を打破した結果、現代に残るのは魔法伝家の血筋。
あたしに課せられた使命は、魔法伝家から魔境放眼を奪い取ること。魔境放眼所持が魔法伝家本流の証し。魔法伝家のトップに立ったら、永年の悲願を達成する。それは地獄を潰すこと。織田家の始祖吉備桃太郎様が地獄へのレジスタンスを行った際に、地獄を潰しにストップがかかり、和平交渉へと移行して、イニシアチブが軍部から文民へ移されてしまい、地獄を滅ぼすことが、宿願として残った。
後世、織田信長様が、桃太郎様から続く宿願を果たそうとしたが、憎っくき明智光秀に計略を悟られて、阻止された。
魔境放眼がそばにある今が最大のチャンス。この機会を逃す手はない。天体望遠鏡、双眼鏡、顕微鏡は世界を広くかつ小さく見通すための魔道具。 これから存分に活躍してもらうよ。)
桃羅の幼馴染、織田信忍(しのぶ)はこぼれそうになる笑いを必死にこらえていた。