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ワタリドリ
ワタリドリ
novelistID. 54908
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それでも太陽は赤く染まる!第23回「アクアリウムの世界!」

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図書館でさんざん時間をつぶして最後にトイレによってひとしだったが、まだすぐ目前の鶴舞公園にみえる時計が3時半で家に帰るにはかなりの中途半端な時間に感じた。

また母から、「昼ご飯も食べずにどこほつき歩いとったんや!」と言われるのがおちだなと分かっていた分、いやそれ以上にトースターの爆発の後始末を母がどんな怖い顔でしていると想像した方が憂鬱で胸が痛み、ひとしの頭の思考回路が行き場を失って同じところをぐるぐる回って煙火寸前になる。

ひとし
「ちょっと遅くなるかもだけど、大須の熱帯魚屋よってこうかな!(-_-)やっぱどうせお母さんにしかられるなら、お姉ちゃんやお父さんが一緒にいた方が気がまぎれるし、今帰ったら僕だけ集中攻撃でがなられて地獄だよ絶対!(+_+)」

ひとしはため息交じりにつぶやきながら自転車にまたがると栄の大須方面にためらわず走り出した。
ペダルを漕ぎ出すとなんか、さっきよりも前のタイヤがごとごととするような変な感触の違和感を覚えながらもひとしは気にせずゆっくりと無表情で進んで行く!

そしてぶらぶらと走らせてまもなく大須の熱帯魚屋に到着した時にはもうお日さまの色も少しオレンジ色になりかかっていた。
栄にめんしてるせいか人通りも多く駐輪や駐車場もなかったため、ひとしは自転車を邪魔にならないように歩道の端に止める。

見上げると大きなエンゼルフィッシュの描かれた看板がやわらかく店のムードを出している。(フィッシュセンター大須館)

さほど大きくないお店だけど店内に入るといたるところが水槽で埋め尽くされ外との世界観がいっきに一変した。入ってすぐ真横にある巨大水槽にはアマゾンで有名なアロアナや1メートルくらいの古代魚たちがゆったりとこちらをのぞくように泳ぎ回りひとしを出迎えてくれた。ちょろちょろと水流の流れるモーター音がすごく心地よく耳にこだました。

そのおかげか、さっきまで、浮かない顔だったひとしの瞳にも一瞬元気が戻ったように心もゆっくりとだがやわらいでゆくのが感じられた。

普段は父とたまに車で一緒にくる所なのだが、道を覚えるようになってからは、ひとつの居場所として、ひとしも時間を見つけては自転車でくるようになっていた。

最近は金魚に凝りだして熱帯魚からはだいぶ離れていたが、以前はエンゼルやグラミー等おしゃれな魚も家の水槽で何匹か飼っていたのだ。ある日、冬にヒーターが壊れてしまい全滅してしまってからはやっぱり自然の温度で飼える魚の方が楽かもと開き直るまでは・・・。でも本当は死んじゃった事がすごく悲しくて悔しくてしばらくはやり場のない恨みを父にあたったりしてろくに口もきこうとしなかった。

ゆったりと時間が流れる中、春の大感謝祭と特売の値段で表示された熱帯魚たちをひとしはちょっと当事を思い出したのか、くやしそうに眺めていた。
小さくて鮮やかなひれのグッピーや大きくてワイルドな顔のオスカーまで、しばらくひとしは心を奪われたように魅せられていたがやはりどこかで時間だけは気にしていたのか、途中できょろきょろと時計を探す。

ふいに後ろを向くと、大きな水の溢れるすいそうに無数に白っぽい奇妙な生き物が・・・。

ひとしが近づくと四方八方にちらばるように泳ぎ出す。

アフリカツメガエルと書かれていたそれは、ひとしの目にはすごく可愛くみえた。餌用で一匹80円と結構安値で表示されていてひとしは「わあ~、\(◎o◎)/!」っとカエルにも値段にも感動したのか急に晴々とした表情に変わっていった。

確かこのカエル、理科の教科書に生体実験でのっていたやつだ・・・。

ひとし、何だか、ひとめぼれしたように表情が明るくなって・・・。

ひとし
「これなら、家で飼えるかな、4、5センチくらいだから金魚と入れても大丈夫だよね!」

ひとしはじっくりと眺めたあと、奥で水槽の掃除をしていた若い男性店員さんらしき人に速足で頼みに行った。20代後半ぐらいの髪は茶髪にピアスだけどあごひげはやしてあたたかいオーラを感じる。来た時はだいたいあと2、3人の若い女性スタッフやおじさんの店員もいるけど今日はめずらしくひとりの店番のようだった。

いつも父と一緒に来るときもあってる人だからちょっと親しみの感じがあったが向こうは別に変った表情は見せずに「何匹ほしいの!」と穏やかに接してくれた。
ひとしはかなり気分が上昇していたせいかめずらしく大きめな声でいろいろと質問してみる。

ひとし
「これって、金魚と入れても大丈夫ですよね!(*^_^*)」

男性店員、網と器を持ってこちらに向かってきて、曇りのない表情で・・・。

男性店員
「まあ、もともとアロアナとかの大型魚の餌なので金魚の方がこれより大きかったら別に一緒に入れても問題ないと思いますよ。小さいと逆に金魚の方が食べられちゃうかもしれないっすけど。(^ω^)」

所々ヤンキーっぽい言葉を交えてくるが、声のトーンには客に対するぬくもりがあった。凶暴な梶谷先輩とはだいぶ違った。

ひとしは今学校で使ってる教科書で確かツメガエルの生体観察のページがあったのを思い出して・・・。

ひとし
「えさはやっぱパンとかの耳の方が喜びますか!理科の教科書で両手で口で放り込むように食べてたの見たので・・・。\(◎o◎)/!」

店員さん、少し考え込むように・・・。

店員さん
「うう~ん!基本イトミミズとか肉食の方が栄養がしっかりと取れるから、丈夫にしたかったらそっちのほうがいいっすね!パンも食べん事はないけど・・・。バランスがいまいちね・・・。( ̄д ̄)」

ひとし、その言葉を聞いて少しだけ気分が上昇から落ち着きに変わったようだが・・・。父が熱帯魚の時冷凍赤虫と一緒に乾燥フレーク用のイトミミズを買っていたのを思い出した。

ひとし
「(あれ確か、まだ家に残ってたかな~。(-_-))」

店員さん
「それとまだ寒いからヒーターもあったほうがいいかもしれないね、もとはアフリカに住んでるやつだから!まあ、部屋があったかいならいいけど。基本は丈夫といっちゃ丈夫ですけど・・・。やっぱりちゃんと育てたいならきちんとした環境で飼うのがベストっすね・・・。どうしますかね。( ̄д ̄)」

店員は持っていた丸い大きな器で水槽の水面をかけまわしながらじれったそうに、何だかさっきよりもするどい視線に変わってひとしの返事を待っていた・・・。

なんだかだんだん、ぐずぐずしていると店員さんがしまいにしびれを切らしてしまいそうな感じがしてきたので、ちょっと考え込んでしまうひとしだったが、せっかくここまではるばる来たのだから何か買って帰りたいという欲望が勝ったのと、きまずくなってこれから来ずらくなるのも嫌だったので、少し強引に願望するように・・・。

ひとし
「でも、やっぱり取り合えず、家で飼ってみます。部屋は窓閉めればたぶん、あったかいと思うので。大きめの2匹ぐらいお願いします・・・。」

店員さん
「いいですか?入れて!(*^_^*)」

店員さんは別にいやな顔をみせず笑顔をつくるとひとしのいうとおり、指でさしたカエルをたもですくってくれようとした。が、かなり、すばしっこくってなかなか網に入らなかった。