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ワタリドリ
ワタリドリ
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それでも太陽は赤く染まる!第22回「陽のあたる場所!」

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お昼の12時半過ぎごろに先生はあわてて、きてくださった保護者の方々に改めて挨拶をしているのを横目に、結局終わるのがどべになってしまったひとしはマイペースに書道具を片付けている美咲をすり抜けるように外に早々と出ていった。だがすぐ、後ろから「にわとり、早いわあ~!(^O^)」とけろっとした顔でドタドタと走ってくる。

ひとし「(うるさい!(#-_-))」と振り向きもせず心の中でまだ不機嫌面だ。

駐輪所の所では、さっき授業の見学をしていた眼鏡少年が相変わらずの無表情顔で小さな段差のある階段で腰を下ろしていた。急に外に出てきたせいか道の道路へのお日さまの光りの反射がひとしにはすごく、まぶしく感じられた!

「先に帰ってて、良かったのに!」と少年を見てちょっと面倒くさそうなふくれっ面をする美咲だったがだいぶ、お昼も過ぎてたので自分の小さなピンクの自転車をひきだすと、「にわとりバイバ~イ!\(^o^)/」とひとしをいたずらにチラ見するやいなやそのまま眼鏡の少年もまたずにペダルを漕ぎ出して先に行ってしまう。
眼鏡の少年もあまり慌てた様子は見せなかったが、乗ってきていた黒の小さな自転車にまたがると美咲を追うようにペダルを漕いでいった。

少年の自転車は補助輪が後輪の左右についていてガラガラとスピードが若干遅めだった。

ひとしは、「確か美咲と同じ3年生じゃあ・・・。(-_-)」と、もう突っ込む気力もなく走り差っていく二人をしばらくぼんやりと眺めると、ため息をもらすように自分の自転車にまたがり、つかれてまわらない頭でこの後の計画をたてようと美咲たちとは反対方向へと、ペダルを漕ぎ出す。カバンを入れた前かごがガタガタとうるさい。

その音のせいかまたさっきの怖い顔の梶谷先輩が脳裏にリアルに浮かんできてひとしは慌ててブルブルと首をよこにかきけそうと必死で別の思考を頭に呼び出す。

ひとし、憂鬱そうな顔で周りを見前足ながら・・・。

ひとし
「(さて、どうするかな。このまま家に帰ったって朝、爆発したトースターの汚れで絶対お母さんに怒られるだろうし・・・。お姉ちゃん今日も遅くなるかもしれないし・・・。う~~~ん!((+_+))取り合えずお腹すいたしどこかのスーパーでおにぎりでも買おうかな!)」

気持ち良い青空に光り輝くお日さまを眺めながらひとしは、あくびをするといつのまにか、今日さやかがバレエの発表会をしていると習字で美咲に聞かされた栄方面に無意識に自転車が向かい始めていた。
途中で方向先が合流しそうな感じがしたので、美咲たちに出くわさないようにわざと大回りをしながら・・・。

だが、行く道のりの先に目だったスーパーはほとんどなく、仕方なしに通りすがりにあるコンビニに入る事にした。
「コンビニセブン」、おにぎり期間限定全品100円と書いてあった。けど、店内に入ってもひとしのお気に入りのシャケはなく、野沢菜、豚角煮とあまり普段口にしない二択しか残っていなくて、しぶしぶ豚角煮を選んだ。お昼過ぎだからお客さんもちょうどにぎわってきた後だったのだろう。レジのぽっちゃりとしたおばさんもひと段落してほっとしたような表情だった。

だが外に出て、自転車にまたがって一口かじってみると豚肉と言うよりは脂身をかじったような感触がごはんにまじりながら口中に広がってきて、ひとしは思わずおえっとなって涙混じりに戻しそうになった。けど通りすがりの人が何人もいるため口から出しかけて頑張って踏みとどまった。

ひとしは肉の脂身全般の味が苦手なのだ!
そうこうしてるうちにもう自転車でサイクリングする気も薄れてきて、ちょうど目の前の電車の線路沿いの先にみえた鶴舞の図書館に時間つぶしがてら入ることにした。

鶴舞図書館は名古屋では一番大きな図書館でひとしもたまに暇をつぶそうと訪れるときがある。好きなジャンルの種類には偏りがあるがそれでも本を読むのは好きな方であった。

自転車を外に止めて中に入るとちょうど心地よい、今日の気温ではエアコンも暖房もいらない空間そのものだった。窓もあいて外から入ってくる風がひとしにはすがすがしかった。警備員の方が室内を行ったり来たりとのんびりとした循環パトロールをしているのも不思議とのどかに見える。

受付カウンターの人達を眺め、取り合えず久しぶりに一階の新刊コーナーの周りをぶらぶらして本棚を眺めてみようかと思ったが、その前に入口付近にあるうがい用の水で口に残った豚角煮の油の味を洗い流そうとそばに行き口を近づけゆすぎ始める。

しかし、やはり他の利用者の方も使ってるせいか、顔を近づけるとうがいして吐き出してたような生臭い香りがもろ鼻に入ってきてまたしても「おえっ!((+_+))」となった。

ひとし
「(ああ~、今日でもうこれ何回目だろ!最初は梶谷先輩の胸元の汗くささでうえ~っって豚の角煮でおえ~。うがいの水道でおえ~っってすでに三度目かな!ううなんかまともに吸って気分悪い!)」

ひとし、その場から逃げるように本棚がある方へと離れていった。

しばらく本を見渡すとひとしは、趣味のコーナーで金魚や魚の上手な飼い方など数冊手にとり陽のあたりのよい窓側に並べられた椅子の一つに腰かける。すでに隣のいすに座っていたコートをきた中年の男性が寝息を漏らして眠っている。空いた窓の外の風に乗って独特な異臭がした。ホームレスの方だろうか!いたるところの座席によれったい恰好をした人たちが沢山座っていた。今日一番の強烈なにおいだ。ひとしはまたもやうっとなったが、それを顔に出すのは本能的に申し訳ないと感じて、我慢するように匂いのする風を首でよけながらぱらぱらと本のページをめくって眺めていた。

それでもしばらくして今度は反対のイスにお酒くさい香りを放った中年男性が大きなげっぷと共に腰掛けてきて、ひとしはまゆをひそめ匂いに限界になって不満そうに立ちあがった。品の悪そうな酒臭い男性に再度ちらみすると真昼間から真っ赤な顔にできあがっていた。

どこにも行く当てのないひと、ひとしのように暇つぶしの人、図書館は本を見る人だけじゃなくいろんなタイプの人間が集まって来るたまり場のような場所でもある。

ひとしは本棚に持ってた本を戻すとカウンターにみえる時計はもう2時半をまわっていた。ぼーっとしてても時間はこくこくとあっという間に過ぎてゆく感覚にひとしはひとりもどかしさを感じ始めていた時、ちょうど酒臭く居眠りしている男性の後ろの本棚がリサイクル本コーナーとなっているのに気づく。

ご自由にお持ちくださいと書かれていた中に何かいい本はないかとこそこそ酒の香りからさけるように近づいて眺めると、時代小説や実用書などいろいろあったがペットや魚に関する本はなさそうだった。

ため息を漏らしかけると、本だなの端に「あなたの愛情度うらない」とちょっと面白いタイトルのものがありひとしは無意識にてにとって中を少しみてみる。