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たららんち
たららんち
novelistID. 53487
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平成30年北海道胆振東部地震

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地震が来たのはよくわからないが、午前三時過ぎほど。
ドドン、という衝撃で目を覚ました後、これはまずいとすぐに立ち上がり玄関まで向かった。
縦なのか横なのかよくわからない、ごちゃまぜな揺れ。
あたりは揺れによって発生する家のきしむ音、モノがぶつかる音、
窓がなる音、家族の声、いろいろな音で包まれ、頭の中は恐怖というよりも無だった。

二世帯住宅(一階と二階で分かれている)だったので、揺れが収まった後1階に住んでいる祖母の安全を確認し、
しばらく二階の部屋で一緒に過ごしていた。
電気がつかないことに気づいたのはすぐだったが、まぁ直るだろうと比較的楽観視していた。
この時の確認できた被害は、精々棚が開き食器が割れていたことくらいだった。

そのまま朝まで眠ることもできず、生き残っているラジオとスマートフォンで情報を収集する。
自分の住んでいる地域は震度五を超えることを知り「人生最高記録を更新したな」などと考える。
明るくなり改めて部屋を見て回ると、枕元にはオセロのボードと大きな箱が落ちていた。
また神棚が落ちてガラスが散らばり、本棚からいろいろなものが落ちている。

ただ、部屋の被害といえばその程度で、正直なことを言うと最初の地震以降は余震におびえ、停電に困ることはあれど、
どちらかというと非日常間を味わえたという程度の状態だった。

問題は歩いて五分程度のところにあった。
液状化現象が発生していた(その時は野次馬からの情報で水道管破裂だと思っていた)。
道路は水浸し、泥が流れていた。
場所は旧国道三六号線。
旧とはいえ地元の人は良く使う、車通りの多い道路だ。

泥に埋まるジムニーとムーヴ、どこから流れたのかわからないコンテナ。
まるで被災地みたいだなと片隅で思った。
近づいてみると、どろはぬかるみというほどでもなく(乾くと固くなっていくことは後から知った)、
もちもちとしている感じであった。

その足で近所のコンビニへ向かう。
東北の時や熊本の時、とりあえず震災時にはコンビニが混むのだろうな、と思い野次馬感覚だ。
一件目、ローソンは開いていなかった。
二件目、午前七時過ぎ頃についたセブンイレブンは開いていた。
するとやはり、車が大量に止まっている。
コンビニの中はちょっとしたお祭り騒ぎになっていて、人が所狭しと並んでいた。
そして店内を回っていると、ビンものが落ちてしまったのか、通路の一つがガラス片で埋められていた。

たまたま見つけた食べたことのないカップラーメンと日清のシーフードを購入して帰宅。
しばらく電気は使えないがガスと水道がある。
米もあるし、親が飲むハイボール用の炭酸水も余るほどある。
しばらく困ることはないだろうとのんびり構えていた。
まぁ、実際これを書いている今現状、なんともない。
これから本震があればおそらく我が家は冗談抜きでつぶれるだろうが。

家に帰って、いろいろな情報がネットや知人から流れてくる。
曰く「午後から断水する」といったことや「八時に大きな揺れが来る(自衛隊情報)」等。
念のため断水に備え風呂場に水をためる。
大きな揺れというのはまぁ備えようもないので、気を引き締める。
結局、どちらもデマであった(そもそも自衛隊が何を知っているのか、という話である)。

一向に会社から連絡がこないため上司に電話する。
一度は出社させようとしてきた(抗議した)※が、
のちに上司の上司より「待機命令」が出たため出社する必要はなくなった。


というより、どこも電気が来ていなく、
信号も止まっているような状態で出社させようとするのは何なのだろう。
普段からパソコンを使う作業しかしていないのに、全道停電の中出社しても危険なだけである。


午前9時過ぎ。
やることがないため自転車に乗ってお店巡りをすることに。
ついでに先ほどの液状化現場にいくとNHKのカメラと記者が来ていた。

本来の目的に戻り向かったイオンでは、停電で明かりがつかないためだろう、
正面玄関近くに商品を集めて店をオープンしていた。
行列ができており、まともに並べばおそらく三十分から一時間ほど買い物にかかるほどだったと思う。
別に寄った生鮮市場、東光ストア、どちらも行列ができていた。

買い物もせずにうろついていると、セイコーマートが開いていた。
1件目にみたセイコーマートは閉じていたのだが、なにか違うのだろうか。
ともかくここも行列ができていた。
店内を見ると総菜も少し残っている。
カップラーメンも多数あったため、念のためカップ麺をいくつか購入した。
レジに並んだあと買い終えるまで30分から40分程度は待ったかもしれない。

帰り、ネットで見た近所のまた別の被害が大きいところを探すが見つからなかった。
しかし水道管が破裂したのか、隆起自体はそこまででもないが、絶えず水の流れている箇所があった。
また主要道路である国道三六号線では道路が一部盛り上がっていた。

バス会社の敷地なのだろう、普段からバスやら乗用車が止まっている場所は、
隣が斜面ということもありがっぽりと崩れていた。
乗用車が一台、斜面に落ちていた。

昼を済ませしばらくした後、車にこもる。
エンジンをかけてスマートフォンの充電をするためだ。
ついでにシートを倒しながらラジオを聴く。
エンジンの揺れに混ざって、明らかに異質な揺れを時折感じた。

夕ご飯を食べた後、また手持ち無沙汰になったため散歩をすることにした。
病院の近く側では電気が復旧したようで、しまっていたローソン、ガソリンスタンドが煌々と輝いている。
ローソンはまだ開店していなかったが、ガソリンスタンドには車の列が伸びていた。
そこは旧三六号線で緩やかにカーブを描いている場所であったが、カーブの先、見えないところまで車の列は続いていたようだ。
ガソリンスタンドの待合室のようなところに自動販売機があったのでそこで飲み物を買った。

しばらく歩いて公衆電話を見つける。
一緒に住んでいる母あてに姉が電話をかけているがつながっていないことを知っていたので、こちらから姉にかけてみる。
しかしつながらなかった。
ちなみに、ネット回線は終始不安定であったことをここで書いておく。
同じく通話もかなり不安定であり、やっとつながったと思ってもお互いに無音で終わるということはしょっちゅうだった。

帰り、数時間ぶりにつながったネットでLINEを見ると、姉あてに「不明」という人から電話が来ていたらしい。
「怖い怖い」という姉に「それはたぶん俺だ」と伝えると笑っていた。
ナンバーディスプレイやアドレス帳も便利だが、こういう時は少し考えものである。

その日は、余震や来るかもしれない本震が怖くて車で寝た。
上着を持ってくるのを忘れたので(そして戻るのも面倒だったので)寒かった。

翌朝5時、無理な体制で寝たせいで腰がすこぶる痛い。
父は仕事に行かねばならなくなったようで、母も職場に顔を出すという。
どちらも結局やれることはないのだろうに、こういうとき日本はおかしいと思う。

土鍋とガスで炊いたご飯を食べていると、上司から連絡が来た。
※ここらは半分愚痴なので飛ばして結構。

「出社できる人は出社すること」