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舞いたけたけ
舞いたけたけ
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ガチクズニートで異(ブラック)世界転生

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拷問されても無抵抗で、監禁されても一言も喋らない。ただ死んだ顔で相手を見つめているだけであった。

そのうち、気味悪がられたのか、街から離れた場所で何なのかよく分からないモノを運ぶ力仕事を半ば強制的にさせられようになった。

労働環境は最悪である。トイレには行かせて貰えず、飯は人が食べれるようなものは出されず、何があっても無くてもクズ扱いされ、直ぐに殴られる。

「ハァ」

またケイヤは小さく呟く。

「トイレ探してた時もそうだったがやっぱり惨めだ。そして、小さい頃から気付いていたが、やっぱり他人なんざこんなもんだ……」

小さく小さく呟く。

「ゲヘヘッ!お前は本当に運が無く、実にどうしようもない奴だ!クズめ!クズが!ゲヘヘッ!だが、俺だけは好きでいてやろう!クズが!」

悪魔の声が頭に響く。

「あぁ、そうだな。」

ケイヤは何かよく分からないモノを運びながら死んだ目をして小さく呟いた。


第9話 分かったことと妄想と決意と

この世界に来てわかったことは、何故か言葉が通じるということ。しかし、字はなんて書いてあるか全くわからないということ。後は種族が人間とかモンスターとかいるということ。

悪魔について分かったことは、こいつといると死ねないということ。まだ、思いっきり切断されたワケじゃないが取り敢えず刺された位では死なない。そして、こいつは何かを満足させるのに特化している…これはまだどう満足させるのかは分かっていない。

国の内情だとか詳しいことは全くわからない。

「凄い進歩だ。街は見つかったし、刺された位じゃ死なないし、言葉が通じることが分かった。」

夜中、辺りが静まり返った中でケイヤは呟く。

「こいつらは俺も含め奴隷で、さらに辺りに女がいないことを見ると、あの屑しか言えないゴミの吹きだまりのような奴等の親玉に連れて行かれたか…おい、悪魔聞こえてんだろ。」

悪魔にひっそりと語りかける

「ギヒヒ、聞こえているからなんだ。ギヒヒ」

「まぁ、確かに。」

ケイヤは答える。実際その通りだ。例えここから抜け出したとしても他に行くあてはない。せめて旨い飯が出てくれれば。せめて可愛い女の子が旅のお供だったら、この悪魔が美人サキュパスだったら…………もっと優しい奴の一人でもいてくれれば……………

まぁ、現実なんてこんなもんだ。

しかしまぁ、こいつらもこんなところでよく奴隷なんざやっていられるものだ。

まぁ、ある程度戦いはしただろうし、それに弱味を握られていますとなっては脳死して奴隷を受け入れるしかないということか。

勝者が正義だとして、勝者の言う正義は糞みたいなもので、敗者からしたらただの悪の塊のようなもの…………ただのガキのワガママ同然だ。

「つまり、俺がやんなきゃダメなんだな。」

助ける理由が必要だというなら、人間とは、怠惰で感情的で豚のような腐った生活をするものでなくてはならない。これが俺の根底にあるものだからだ。

ケイヤは久し振りにニヤニヤした気持ち悪い表情を見せた。




第10話 話の長さと進展の無さと多さと死んだ目と
「解放軍だ!」

「助かったぞ!」

一夜にして一瞬のことだった。国に対する不満を募らせた勇士らによってケイヤ含む奴隷ら一同が解放された。

この事態の鎮圧に国は国王直属の軍を派遣。これに対し、解放軍を後ろ楯していた天皇院直属の軍が応援に駆けつける。

しかし、国王直属軍である巨人族及び悪魔族連合軍の前に両者共に撤退を余儀なくされた。

この戦いに天老院はこの肥沃化し過ぎた国を脅威と認め、全土の各勇士等を集めた新たな軍を編成

ここで、国側が休戦を申し出る。しかし、天老院側でこれを破棄

「魔の力に手を出した輩に容赦は不要」

新たな軍により国の力が弱まったかのように見えた。

しかし、ここで国側は超巨大兵器「竜王の遠吠え」を稼動。これにより天老院は半壊、さらに天老院内の裏切りもあり、天老、天皇側は大きく衰退。残された軍は上からの指示を仰げず、混乱の一途を極め、国の軍勢の前に成す術無く敗退を喫した。

「資本の皮を被った超奴隷主義国家をのさばらせた結果であり、この失態を犯した天皇院を許すな」

「天皇院等という糞の役にすら立たないゴミ共の集まり」

「俺の方が天皇院なんざよりよっぽど良い仕事をした」

「セックスと金と旨い飯のことしか頭に無い連中の集まり。つまり、天皇院はゴミ」

「何であんな奴等が天皇院だったんだ」

人々の不満の矛先は天皇院に向けられる。解放軍の勇士らはこれの鎮圧にあたったが、

「正義が今度は天皇院という巨悪を前に人々を悪者扱いか」

「所詮、お前等も天皇院の飼い犬」

暴走化した人々の前では解放軍ですら手がつけられずにいた。

そして、解放軍のリーダーが解放連合国を設立。

「天老・天皇院に縛られず、我々の力を合わせてあの敵国に打ち勝つ程強大な国を造り上げていかなくてはならない。それには皆の力が必要だ。頼む。これからの未来の為に…」


これにより、ようやく人々の中に希望の光が灯った。


「はぁ…どんだけ国って軍好きなんだよ…」

ケイヤは青々とした空を死んだ目をしながら眺めていた。

「はぁ…竜王のオモチャ俺も欲しいなぁ…なんて…」

何回かどさくさに刺された体も回復し、たった一人ぼっち空しく空を見上げていた。

「何回軍って言ったでしょうか…」

ケイヤはただ青い空を青い顔をしながら見上げていた。

「殺してくれ」

第11話 悪魔とゴリラと嬉しみと分かりみと

「はぁ…」

ケイヤの口からため息が漏れる。あの戦乱の中でケイヤはただひたすら逃げることしか出来ずにいた。何度も兵士に刺され、何度も魔法のような攻撃を全身に浴び続け、ひたすらに生死の中をさ迷い続けていた。

「はぁ…ゲームだったら今の俺残機何個分だよ…いや、ゲーム程生易しいものじゃないな。チュートリアルすら無いってのに…」

ケイヤの眼前には以前の美しい森の面影など微塵も残っておらず焼けただれた大地が遥か彼方の方まで広がっていた。

戦乱の傷痕も生々しく、そこいら辺に片付けられていない兵士や異種族達の死体がゴロゴロと転がっていた。

「誰か生きてませんかー。なぁんて…はぁ…」

その時である。兵士の死体の内の一つがよろよろと立ち上がった。

「お、おい!そ、そこの奴!せ…戦況は…」

顔から体まで全部ゴリラみてぇな奴だな…。

「あんた、国側の兵士って感じじゃないな…だったら負けだよ負け」

「…そうか……………元々あんな戦況ではな…そもそも貴様は一体何者だ!」

「この世界での俺の役目ってなんなんだろうな…はぁ…って…!おい!急に何すんだ!」

急に兵士がケイヤの体を引っ張り、岩陰の方へ追いやった。

「しっ…!静かにしろ!悪魔だ…悪魔の気配がする…」

「やめろ!おい!離せ!」

「死にたいのか!」

「待て!話を聞け!俺がその悪魔なんだよ!」

「なに!」

今度はケイヤの体を地面に思い切り叩きつけた。

「仲間の恨みだ!」