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のしろ雅子
のしろ雅子
novelistID. 65457
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未生怨(みしょうおん)上巻

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「ここ解る?」と指差すところは病院のマークが入っていた。二人で過した正夫の故郷、山深い村を祈之は忘れていなかった。正夫も思わず身を乗り出し二人で顔を寄せた
  
 正夫は応接間に集う客たちが一人二人と部屋に引き上げ一階の喧騒が静まる頃裏口からそつと風呂場に向かった。大きく開かれた応接間の扉の向こうに数人の意に満たない不平分子の輩達が宴席を小さくし、未だに酒に張り付いて気炎を上げているのが見えた。この風呂は三人か四人ぐらい入れるような大きさでゲスト用に造られてあったが、外から直接出入りが出来るようになっていて、鎌倉の海で遊んで砂だらけになってもここから直接、風呂に入れるように設計されていた。亜子や祈之は寝室に備わったバスルームがありそれを使っていた。正夫は独りになってからは人とダブらないように時間を見計らってこの大風呂に入るようにしていた。シャワーを強くして頭から浴びると、その日一日の汗が流れ落ち一日の労働がやつと終わるような気がした。十六歳にしては頑強な、褐色に焼けた筋肉質のその身体は父に良く似ていた。弾力のある張り詰めた肌に跳ね返るように湯が飛び散り、顎先からも湯が滴り落ちた。
 突然入り口の扉が開き、冷たい空気が流れ込んだ。吃驚して振り向くと、祈之が裸で入ってきた。
「一緒に入る…」
「一緒に入るの?みんな入って来るよ、大丈夫?…」
「大丈夫だよ…どこに入るかなんて僕の勝手だもの」
正夫はシャワーを止めると「はいはい…」と頷いて笑った。正夫は祈之に頭からシャワーを浴びせ掛け手馴れた様子で洗い始めた。つい最近まで二人は一緒に入っていた。三歳の時から洗い続けた見慣れた祈之の身体であった。祈之は正夫のするがままに身体を任せ、祈之を立たせ真っ白に泡立ったスポンジで股をごしごしと擦り足の間から尻を洗った。その羞恥心の無さはまだまだ十三歳の子供であった。

                 ღ❤ღ
                中巻に続く