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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 秘密 三話

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家庭訪問があった翌日、美樹は娘の美那子に話がしたいと夕飯の後で部屋に入った。
ノックをして中へ入る。

「美那子、ちょっといい?」

「うん、いいよ。なに?」

「昨日先生が来てお話をされたの。知っているわよね?」

「もちろん。何か言われたの?」

「そうね、デリケートなことだからお母さん言いにくいんだけど、先生から聞かされたことは、あなたと秀一郎とのことなの。だいたいわかる?」

「そうだったの。勉強の事じゃなかったんだ。それで、お兄ちゃんとのことって何がいけないって先生は言っていたの?」

「いけないとかじゃなく、誰だかわからないけどお友達がね、二人が公園で仲良くしていたと先生に言ったみたいなの。キスもしていたって。本当の事なのか美那子に確かめたかったの」

「ふ~ん、見られたことは認めるよ。私が冗談でチュってしただけ。心配するようなことじゃないよ」

「本当にそうなのね?」

「お兄ちゃんにも聞いてみるといいよ。美那子はこう言っていたけどって」

「ううん、秀一郎には聞かない。あなたの言葉を信じるわ。聞いてよかった。美那子も大人になってきたから、色々と考えることがあるだろうけど、何でも話して欲しいって思う」

「お兄ちゃんが優しいから相談するので心配いらないよ。それから、智之さんとは付き合わないことにした。やっぱり離れすぎているし、好きになれそうにないから」

「そう、そう決めたのならそれでいいんじゃない。お父さんも安心できるわ」

「ねえ?お父さんといえば、お母さんたち仲良く出来ているの?私たちに気を遣わなくていいから出掛けたりしたら?」

「ええ?仲良くってもう結婚して18年よ。いつまでもラブラブっていうわけじゃないから、普通だって思うけど、何か気になることがあるの?」

「別にそうじゃないけど、お母さん見ていてちょっと感じたことがあったから、言ってみただけ、気にしないで」

美那子に自分の心を見透かされたような衝撃が美樹を襲った。
まさか昨日の夜部屋を覗かれたというようなことはないだろうか心配になった。
聞き耳を立てれば子供部屋からでも、かすかに自分が発する声が漏れ聞こえるだろう。
大きな声を出すほうではなかったが、これからは気をつけないといけないと思った。