はーい♡
数時間後。
客間から、豆ちゃんのすすり泣く声が漏れてきました。
驚いた私は、戸の直ぐ側まで駆け寄ります。
「豆ちゃん? どうかしたの!?」
「都ねーさま…」
「何?」
「どうして…いつまでも、見に来てくれないんですか!」
予想外の言葉に、私は困惑しました。
「だって豆ちゃんが… <決して見てはいけない>って言ったし……」
「それだと、私はいつまでも紐を編んでいないと いけないじゃないですか!!」
「…へ?」
「最後は覗かれて『正体を見られたからには、ここにはいられません…』で終わる規則なんです!!!」
とにかく戸を開けた私に、豆ちゃんが勢い良く抱き着いて来ます。
「ねーさま、酷いです…」
「はいはい。ごめん ごめん」
泣き止ませ様と、私は背中をさすりました。
「頑張った豆ちゃんには…ご褒美あげる」
「?」
「スペシャルクッキー、作ってあるから」
鼻をすすりながら、豆ちゃんが私の耳元に口を寄せます。
「─ 私が紐を編むの…ストレスだったですか?」
「…何で??」
「だって ねーさま…クッキーを作るの、ストレス解消のためだって……」
「何言ってるの。豆ちゃんに喜んで欲しくて作ったの」
私の頬に、小さな唇がキスしました。
「都ねーさま 大好き♡」