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③冷酷な夕焼けに溶かされて

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「正直に言うと、今もお前達を完全には信じておらぬ。」

冷ややかなミシェル様を、皆は真っ直ぐにみつめ返した。

「ヘリオス。おまえもだ。」

驚いてミシェル様を見ると、どうやら私でなく兄のことだったようだ。

「私は、ルーナを覇王へ献上したくない。」

はっきりと告げられた言葉に、胸が熱くなる。

(それは…私を手放したくないということ?)

期待に、鼓動が早くなった。

やわらかなくせ毛の白金髪の後頭部を見つめると、皆もミシェル様越しに私を見つめる。

その皆のキラキラ輝く瞳にミシェル様は気づいたのか、面倒くさそうにため息を吐いた。

「ヘリオスの実力が想像以上だったからな。覇王にこれ以上、力を持たせたくないだけだ。」

吐き捨てるように否定され、高鳴っていた鼓動は一気に冷め、皆も私から目を逸らす。

「おとぎの国と星一族に関しては、切り札を出してきたことは評価する。」

「は。」

「ありがとうございます♡」

マル様とカレン王が、真逆の表情で返事をした。

「だが、まだ完璧ではない。」

ミシェル様は胡座に肘をつくと、7人に告げる。

「私は覇王を倒し、この長く続く侵略ごっこを終わらせたい。」

ミシェル様はチラリと私をふり返ると、包帯の巻かれた右手に触れた。

「だが、私の手の内に、せっかく覇王を葬るチャンスを潰してくれる、爆弾がある。」

「…ごめんなさい…。」

私が目を伏せると、ミシェル様がくくっと笑う。

「こういう爆弾の存在も考慮しながら、覇王を葬る計画を立て確実に実行してみせろ。そうしたら、未来永劫ルーチェは他国を侵略しないと約束する。」

ミシェル様の言葉に、7人の顔が緊張を帯びた。

(つづく)