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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 始まり 三話

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「あら、そう。くれぐれも求めに応じるようなことはダメよ。13歳ってまだ半分しか大人じゃないから、相手の誘いが断れなくなってしまうと危惧するの」

「また、静子が言ったことと同じことを聞いたわ。経験者は語るっていうことかな」

「静子ちゃんって彼がいるの?」

「うん、多分仲良くしていると思う」

「そうなの。羨ましく感じられるのね、美那子は」

「う~ん、そうなのかもしれないけど、そうじゃないかも知れない」

「あら、わからない返事ね」

「男の人と仲良くしたいって好きになったら当たり前のことだと何となくわかるの。でも好きになる前に誘惑されて断ったら終わっちゃうんじゃないかって不安もある」

「なるほど、美那子の気持ちはわかる気がする。お母さんはお父さんとは職場で知り合ったんだけど、結構強引に誘われたの。そのうちハッキリと断ると会社の中では気まずくなるって考えて、一度だけなら誘いに乗って食事したり、映画観たりするぐらいはいいのかって思い始めた」

「へえ~そうなの。それで一緒にデートして好きになっちゃったの?」

「うん、好きになったというか、悪い人じゃないなあって感じたかな」

「お父さんはお母さんのことが最初から好きだったんだよね?その思いに気付いていたからデートしたっていう事でしょ?もし、遊ばれるような感じだったら断っていたよね?」

「もちろんそうよ。遊んでいる人だったらお母さんはついて行かなかったわ。加瀬さんが真面目に美那子のことを考えているなら大切にしてくれると思うの。結婚なんて考えられないけど恋愛って傷付くから遊びで仲良くするのは反対だわ」

「傷つくって静子も言っていた。好きになると別れた後が辛くなるという事なのよね?」

「そうね、でも別れは恋愛にはつきもの。それが怖いのなら男の人を好きになれないと思う。お母さんは美那子が好きになって、相手からも好かれていて、でも悲しいけど別れることになったら、その時は思いっきり泣けばそのうち忘れられるって思う。でもね、遊ばれたことが判ったら悲しいというより悔しい気持ちになるから、それは自分が惨めに感じられて後を引くと思えるのよ。だからいい加減な男の子とは仲良くしないで欲しい」

「お母さんそういう経験があるの、お父さんとの前に?」

「美那子・・・」

母親はそう言うと言葉を詰まらせてやがて涙を見せた。
自分にとって大きく見えていた母親の姿が瞬間同じ年齢の女子に感じられたことは、驚きだった。
恋愛を語る時は親子じゃない気持ちなんだと相談して良かったと強く感じていた。